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サンクチュアリ -聖域-のMALPASOのレビュー・感想・評価

サンクチュアリ -聖域-(2023年製作のドラマ)
3.8
ドラマ『サンクチュアリ 聖域』

今年観た映画、ドラマの中でNo.1に面白かった!同じくスポ根ドラマの『クリードIII』よりもこっちが断然面白い!傑作!

物語を通して、これまで問題視されてきた角界の「かわいがり」「八百長」「出世」「タニマチ」、さらに「色恋沙汰」「女将さん」、相撲部屋の知られざる生活や世界が描かれている。毎話興味深い内容。

日本には、タブー組織がいっぱいある。今問題になっている歌舞伎界、ジャニーズ。伝統という言葉や金によって、現代に合わない問題も封印してきた。「ヤクザ」というのもそうだ。同様の組織に「相撲協会」がある。
 フィクションであれ、民放や大手映画会社では今回のような内容は描けない。日本には古くから大きな力を相手に何かを進める時に「仁義を切る」というのがある。相撲を作品にするためには、相撲協会に仁義を切る必要がある。すなわち、相撲協会が内容にも口を出すことになる。

相撲がマンガ・チックにもリアルにも描かれる。役者たちは本物の力士に見える。撮影開始の1年前から体重を増やし、実際に四股も踏み力士の身体を作りあげている。相撲部屋や国技館のような会場もこのためのセット。製作費の出せるNetflixだからできる事。

さらにキャスティング。主人公の猿桜演じるのは元格闘家の一ノ瀬ワタル。『宮本から君へ』『ヴィレッジ』などで、目つきの悪い、とにかく腹の立つキャラばかり演じてきた。今回も最初は金のために相撲の世界に入って文句ばかり言っている苛つくキャラ。しかし、物語が進むにつれ感情移入していき、いつの間にか応援している。猿桜のライバルで、暗い過去を持つ無敵力士・静内。彼を演じる元力士の住洋樹のデカさ、目つき。
忽那汐里演じる帰国子女の相撲担当記者も伝統に疑問を持つ。猿桜と並行して成長していくところが素晴らしい。
その他の力士役の面々もキャスティングが活きている。

猿桜と静内が土俵で見合った時のショットは、小錦・舞の海戦の有名な写真を思い出す。他にも素晴らしいショットが多い。撮影監督の直井康志はアメリカで修行をしてきた人。例えばたけし作品とか大御所と言われる日本の撮影を僕はいいと思ったことがないが、この人は素晴らしい。日本ではシステム上、撮影であって撮影監督ではない。
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