久しぶりのドラマ。最近は日本でも「全裸監督」「エルピス」「ガンニバル」「大豆田とわこ」など映像・プロット面でも質の高いものがたくさん出てきて嬉しい。これもその系譜に名を連ねるだろう作品。
なんと言っても、アクションの迫力！本当に体鍛えてるから土俵の上での緊張感が半端ない。練習シーンとかマジでキツそう。主人公の体が終盤にかけて洗練されていくところとか、ほぼ芸術作品のような肉体美を感じさせるほど。ベタベタなストーリーなんだけど、さりげない伏線(静内の笑顔の理由とか本当泣いた)がはってあったり、徹底的に説明台詞を映像に置き換えるストーリーテリング(少しわかりやすすぎなところもあるが...)など観客を飽きさせない工夫がされてあるところがとても良い。
ただ、「破天荒な主人公が旧体質的な世界に切り込んでいく」というエネルギッシュなテーマの割にテンポが冗長に感じられるところも。また一番疑問に残ったのが女性キャラクターの描かれ方。出てくる人全員良妻賢母か性的な対象でしかなくて、その人物に入り込んでもいかない。「女人禁制」というタブーには触れてはいるものの、男性中心的な角界に対する批評的な視点はあまり感じられない。唯一それに批判的な態度をする忽那汐里でさえもスポ根型プロットに引っ張られていき、さらに批評的な要素は薄まっている。もう少しそこは上手くやれたんじゃないか。
