琥珀

母性の琥珀のレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.3
私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました。

原作の『母の手記』冒頭の一行です。
映画でも登場人物が「胡散臭い」と言ってましたが、本当にその通り。

母娘3代のキャラクター設定は、呆れるほど嘘っぽさに溢れています。少し誇張はあるけどそういう人いるかもしれない、と思わせることもしません。ある意味、隙がないというか手を抜かない、というか。

真っ直ぐに育った、という場合、普通は開放的で大らかな家庭で伸び伸びと、というイメージだと思いますが、永野芽郁さん演じる清佳は鬱屈を抱えたまま、精神的な歪さを保持したまま、真っ直ぐに育ちました。ここにも嘘っぽさしかありません。

原作者の湊かなえさんは、これが書けたら作家を辞めてもいい、と言ったそうですが、その後の活躍を見る通り、堂々と嘘をつきっぱなしです。

というわけで、この映画(原作も含めて)はすべて虚構、虚飾です。ストーリーや謎解きのミステリーという以上に、作品自体が我々を騙しにかかってきてます。
タイトルの『母性』から受けるイメージとか、作家生命を賭けてる、という話は、この作品がいかに人間存在の本質にまで迫る重い作品であるか、という錯覚を起こさせますが、テーマ性を読み取ろうとするとモヤモヤしか残りません。だって、もともとそんなつもりで書いてないのですから。

作家と出版社と映画製作に関わるすべての人たちが、長い時間をかけて我々を騙しにきてるミステリー。
胡散臭さの他に何もないけど、実は本当にそれだけ⁈
私は映画を見終わってやっとそれに気が付きました。

以上、極めて個人的な感想で、たぶんそういうことだっだのではないだろうか、という一種の妄想です。当然、客観的な根拠はひとつもありません。
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