桜花

母性の桜花のレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
4.3
例えば茶椀を上から見るか横から見るかで見え方が違う、と、その昔、大学時代に論文を書く時、初めて教わった。
当たり前だけど、案外気づかない。
そして見たい方向からしか見ないのが人間だと、社会に出て尚更感じる。
そして、母と娘(特に長女)はいびつな関係になりやすい。
母は娘を自分のフィギュアと思いやすく、娘はその期待に押しつぶされやる事が多々ある。
愛はあるのだ。あるのだけれど、よく分からなくなるのだ。
私は物理的に距離を置いた。それで上手く回るようになった。お互いがよく見えるようになった。
近くて遠い、遠くて近い。それで良い、それが母と娘。

複雑な思いで見たこの映画。主演の2人は本当に凄い。全体的に画面が暗くてちょっと見にくいのが不満といえば不満だけど、それもこの重苦しい空気感がよく伝わる。
原作がすごいのはわかっていたが、映画になっても一瞬も目が離せない、気が抜けない映画。
桜花

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