『羅生門』形式でありながら一線を画す廣木隆一監督作品としての形が印象的でした。「真実」は人それぞれにあってそれがきっちり棲み分けされるわけではなく、ファジーに提示されることで受け取り方が多様なものになると思いました。
演出もさすがでした。キャストそれぞれが力を遺憾なく発揮していました。
中でも戸田恵梨香さんの時代ごと、相対する人ごとの変化は見事でした。
また、美術の良さが目を惹く作品でした。ルミ子の母親の家、新婚生活の家、田所の家。家それぞれが家族関係を表していました。中でも新婚生活の家のみセットとして建てられた家のようで、地に足のついていない建てられ焼かれる「作り物」として作品内でうまく機能していたと思います。