【母親から生まれない人はいない。】
私は…愛能う限り、娘を愛してきました。
ー愛能う限り。それは、出来る限り愛してきた、という事ですね?
あなたの絵に愛が溢れてるのだとしたら、私やお父さんがあなたを愛しただけじゃなくて、あなたがその愛を真っ直ぐに受け止めたからだと思うわ。
あなたが助けなきゃいけないのは…私じゃないでしょ?
私の存在というのは、母の描く〝幸せ〟という絵のほんの一部。小道具のような物に過ぎなかったはずだ。それでも十分だった。私にも同じ絵が見えていたのだから。
祈りとは神の前にありのままの自分を差し出す事です。
本能なんていうけど、母性は人間の性質として生まれつき備わったものではなく、学習によって後から形成されていくものなんじゃないでしょうか?なのに大勢の人達が最初から備わっているものと勘違いしているために、他者から母性が無いと思われる事は人格を否定されるようなものだという錯覚に陥って、証明する為に必死になって言葉で補おうとする。〝愛能う限り大切に育ててきた娘〟みたいに。
娘さんに話してあげたかったです。女には2種類ある事を伝えたかった。
ー2種類?
母と娘です。
ー何だよそれ。
いつまでも誰かの娘のままでいたい。そういう女性もいるんです。