やすひろさん

ダウントン・アビー/新たなる時代へのやすひろさんのレビュー・感想・評価

4.3
2022年272本目 劇場32本目
「ダウントンアビー 新たなる時代へ」

凄くいい!
何がいいってこの物語って貴族社会からフランス革命などの他国の世相や世界を股にかける商人の隆盛、世界大戦を庶民階級の人たちが主力の兵士として戦ったりで時代の移り変わりの中変わらざるを得ない貴族の生活をショッキングなバイオレンスや政治的な主義主張なく見せきっているところ。そして今回は身分制度の移り変わりの他に無声映画からトーキーに時代が変わっていく中で貴族の娘や元下僕が力を発揮するストーリーラインがある。
そしてフランスの別荘を婆さんが相続することになりその理由探しをするうちに出自の謎が出てくる。

人が殺されたりするわけでもないしコメディでもない。大きな時間の流れで私たちの時間でも住んでる場所でもないところでこんなふうに人々が生きて来たのかと思うそのゴッドファーザーにも通ずる歴史を覗き見体感することができる幸せ。

シナリオも練りに練った感じだがわかりづらくはない。
ドラマから前作映画そして今作と家長が長女に移り外から見ると完璧にしっかり者でもそこは不安なところもありその演じ分けも見どころ。世の大人は子供たちが思っていたほど揺るぎないモノでもなく特に激動の時代にはなおさら。
こういう感情移入できるポイントがあることがこの映画を単なる煌びやかな貴族映画に終わらせないところ。

育ちの悪い女優役がキレイ✨キャプテンアメリカやガーディアンズオブギャラクシーのチョイ役くらいしか映画では活躍ない女優、しかも若くもない彼女を使ったのはセオリーから外れているが良かった。それだけキレイだったし下品なだけではない寂しさと強さも演じきった。

レギュラー陣に関してはもはやいうべきこともないほど安定。
前作と同じく執事のLGBTの扱いが出てくるがこれが好感持てる!迫害受けたり権利を主張したりどこか上から目線で偽善的になりがちなこの主題、自分に素直に道を選ぶ姿だけを描ききった勇気を誉めたい。

ドラマからの派生映画だが2時間ドラマにならず奥行きの深さには脱帽。
さらに続編も出してほしい。
やすひろさん

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