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マッドゴッドのNAOZYのレビュー・感想・評価

マッドゴッド(2021年製作の映画)
4.0
マッドゴッドを観ました。
制作中止から30年の時を越えて完成させるという神技をストップモーションの神フィル・ティペットはやってのけたのです。
彼が育てた弟子たちの助けによってダンテの神曲のような作品を作り上げてくれました。
1993年にジュラシックパークが恐竜をストップモーションアニメからCGに転換したところから特撮の時代は終わってしまいました。その時のフィル・ティペットの絶望感は相当なものだったと思います。
マッドゴッドもその影響で制作は中止されガレージに眠ることになるのですが、この作品のテーマやコンセプトは20世紀末の終末思想が色濃く反映されてます。
40代以上の人にはわかるであろうノストラダムスの大予言に象徴される人類滅亡の危機感はほとんどの人が持っていたと思います。この作品にも描かれる戦争や核兵器の脅威などその頃の時代の空気を濃密に描いています。この頃はペシミズムに溢れたディストピア世界を描く映画が多く作られていました。マッドマックス2や風の谷のナウシカもその中に含まれるでしょう。
20世紀末の時代の空気をビンビンに感じて、この異様な世界観を堪能しました。
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