aya

ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師のayaのレビュー・感想・評価

4.0
彼の好きな言葉は「利他」

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映画というより、映画のことを思い出して考えたこと。
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サークルの活動でこういうことが起きているということを学んでもその記憶を風化させちゃう自分。知ろうとすることが大事とか、何かを知った時にちょっぴりそういう自分を偉いとか感じてしまうのは傲慢な自己愛。

私はアフリカ行っただけで終わっちゃう。

社会には自分の知らない不条理がたくさんあって、知るたびに、それを見て見ぬ振りしないで生きなければという気持ちになる。でも、自分の日々の暮らしの中でその想いを持続させて行動することが、私にはできない。

自分がおかしいと思ったことに声を張り続けるのには体力も気力も時間も知識もいる。声を張ることに意味があるのかとすら問うてしまう。それを言い訳にして私はまた行動に移せずに日常に戻ってゆく。

私は渦中にいない外側の人間であり、外側の人間であることは偶然でしかない。外側にいることを申し訳ないと思うのも傲慢である。私はどうしたって、うちなーではない、アイヌ人ではない、被爆者ではない、性的マイノリティではない、この映画に出てきた女性たちではない、あなたではない。あなたにはあなたの、私には私の背負っている過去がある。だから、あなたの感情(負の感情だけではなく、正の感情も)を完全に理解するということなどはできない。理解できたと思って終わってはいけない。

壮絶な苦しみの中にいる時、人は声を張ったり、隣人に打ち明けることですら難しい。ならば、外側にいる人にできることというのは、内側にいる人の声をできるだけ聞こうとすることだったり、その声を必要な時には社会に張り上げることなんじゃないか。

自分の行動を伴うためにはどうしたらいいのか。
行動し続けるムクウェゲさん、私はこういう人になりたくて数年前国境なき医師団を目指したんだと思い出した。
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