ヤマタノオロチ

トロールのヤマタノオロチのレビュー・感想・評価

トロール(2022年製作の映画)
2.2
悪くない作品だが、特撮好きが見れば既視感のオンパレード



【予習候補作品】
本作に限っては予習しない方が楽しめます。下記の作品を見た人は既視感の連発なのでご注意ください。
「トロール・ハンター」「GODZILLA(1997)」「GODZILLA(2014)」「キングコング髑髏島の巨神」


↓以下多少のネタバレとマニアックな話、感想になります↓


『良かった点』
・おとぎ話と現代の融合
近代都市に現れるトロールの姿は斬新でした。これまでのトロール作品(北欧の作品)の多くが森や山、平原での遭遇ばかりで街中に現れる事は無かったです。

・トロールの解説が丁寧
過去のトロール作品はトロールが人知を超えたモンスターとしての紹介しかありませんでした。本作ではストーリー展開に違和感なくトロールについての解説をおとぎ話を交えながら解説していました。これはかなり評価できる点です。

・クオリティの高いグラフィク
相当予算を賭けたのでしょう。ネットフリックスオリジナルの北欧映画ですが、映像はハリウッド映画に引けを取りません。この点に関しても満足です。


『悪かった点』
・ストーリー展開がパクリ
ゴジラ好きでご覧になった方は既に分かっているかも知れませんが、主軸のストーリーは完全にエメリッヒ版ゴジラのパクリです。(以下エメゴジと表記)主人公が学者、大きな足跡、子供に執着するトロール、カーチェイス、続きを予感させる終わり方、エメゴジとの共通点は数え切れません。あと、主人公と父親の関係は恐らくGODZILLA(2014)のブロディ親子が元ネタでしょう。

・トロールのデザイン
本作で暴れまわるのはトロールの王様なのですが、顔と尻尾以外は完全に「キングコング髑髏島の巨神」のコングでした。軍用ヘリと並ぶと特にそう見えます。本作中に出てくる資料の姿に似せれば既視感は回避出来たかも知れませんが、恐ろしさを重視するとやっぱりこうなるんでしょうか・・・。

・過去作品に比べて登場人物のトロールの知識が少ない
本作ではトロールの撃退方法をおとぎ話の資料から導き出していましたが、スカンジナビアでは日光が弱点なのは周知されているようです。同じノルウェー映画の「トロール・ハンター」(2010年)ではトロール狩りをする際は常に紫外線照射機を使用しており、この作品を見た人は「何で紫外線照射機を使わないんだ?」と思っていたことでしょう。私も本作を見てる途中からそう思い始めました。

『総評』
悪くない映画ですが、いい意味でも悪い意味でもパクリです。
端的に言うと「エメゴジのストーリー展開でゴジラをコングみたいなトロールに入れ替えて、ギャレゴジの親子愛と軍事会議を添加、おとぎ話どおり紫外線と日光で撃退」と言ったところでしょう。
特撮を見ない人はストーリーも楽しめますが、これまで怪獣特撮映画を見てきた人からすると、楽しめる所はグラフィクぐらいです。ストーリー展開は既視感のラッシュでしょう。特に「トロール・ハンター」を見た人は撃退方法まで分かっているので、主人公がじれったくなるかも知れません。
トロールの歴史を触れるシーンではノルウェー王オーラブ2世の話が出てきますが、多くの人は「誰?」となることでしょう。本作はノルウェーの作品なので当然オーラブ2世の解説は殆どありません。オーラブ2世とキリスト教について予備知識を入れておくと、トロールとオーラブ2世の関係がより分かりやすくなると思います。
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