ユウサク

渇水のユウサクのレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
1.1
あまり興味なかったけど16mmでほぼフィックス撮影ってKODAKのメルマガに書いてあったので見てみた。

予想を遥かに超える酷い脚本、演出、演技、ジェンダー観で失笑しつつ具合悪くなった。演出が拙過ぎてメインキャストから端役にいたるまで全員がセリフを読むマシーンと化し、それをまた下手くそな編集がリズムも何もなくぶつ切りにし、下品な撮影が顔に寄って見せかけだけの「エモ」を粗製濫造する。子役が本当にかわいそうで終始小学校の劇みたいな演技をさせられていた。真顔からの「うわぁー!」は本当にキツい。
また門脇麦の役を筆頭に女性の描写が前時代的過ぎて引く。子育てを放棄するシングルマザー、自分本位で手を差し伸べる近所の「おばさん」、何もしてないのに許す妻、挙げ句の果てに「守るもの」扱い。ファミレスかなんかで隣に座ったオッサンのスイーツ食べたり匂い嗅いだりするシーン、気色悪いファンタジーが爆発してて見てられなかった。「水の匂い」がダメで「あの人は火と鉄の匂いがする」って能力者か。主要な製作陣は男性のみで、女性の参画がどうたらとかほざきながら会議の場にはオッサンしかいない日本の政治を体現しているかのよう。もちろん「女性を要職に就けてその人に全部なんとかしてもらえ」という話でもなく勉強するなり専門家雇うなりやれよ、という話。
向井秀徳の音楽は良くも悪くも向井秀徳の音楽でしかなく映画という枠の中では収まりが悪い。ギター一本のみなのも「らしい」けどいつもの音、フレーズでしかないので特に面白くもない。ミュージシャンのチョイスがそのままこの作品のアティテュードということなんだろうけど、少しは世の中を勉強してほしい。
そういう部分をスルーしたとしてもシンプルに使い方も下手でタイトル前に一回流しちゃう時点でダサいし、その後も映像で起こっていることを音楽で過剰に説明しようとするダメな劇伴の典型でほとほとあきれた。
ユウサク

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