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渇水のshunsukehのネタバレレビュー・内容・結末

渇水(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画の水は、かなりストレートであるが、「愛」もしくは「愛し方」の象徴だろう。主人公の岩切は料金滞納者への水の供給を止める仕事をしている、一方、妻と子供の愛し方が分からず愛想を尽かされ別居している。彼がそうなった理由は、親からちゃんと愛情を注いでもらえず、愛し方を教わらなかったからだ。彼が水を止めたある一家は、母と二人の娘の親子である。母は娘に愛情を示しながらも娘を抱えたままの生活苦の現実から逃避してしまう。二人の娘は母に見捨てられ、水と母からの愛を失う。淡々と職務を遂行していた岩切はこの娘たちの苦境を前にして規則を破り自分のやり方で彼女らを救おうとする。そして、そのことが彼に、教わっていない愛し方は自分で見つければいいのだということを体感させる。
ラストで二人の娘は水に満たされたプールに飛び込み、岩切は息子と海に行くことになる。つまり、それは、彼らが愛と愛し方を取り戻すということを表わしている。
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