takaori

渇水のtakaoriのレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
3.6
2024年160本目

例によってFilmarksには反映されていないが、Amazonプライム・ビデオでの見放題配信が開始されている。
「電力会社全社が大幅黒字、値上げの影響で底上げ8000億」という呆れ返るほかないニュースが流れた日に見るのにピッタリの映画である。本当に腐った国だ。どうしてこうなるのか。だったらお金返してほしい。
本作のテーマは公営である水道だが、すでに宮城県などで起こっていることや、東京都知事選の小池百合子再選などの流れを見れば、水道の民営化も遠くないように思える。公営ですらこの有り様なのに、そのときに何が起こるのか、想像するだに恐ろしい。
確かに、この映画でも描かれるように、水道代すら払えない人たちというのは色々な意味で困難を抱えた人であり、真面目に働いていない人も多いだろうが、だからといって「金を払わない奴が悪い」と切り捨ててしまっては人権否定ではないか。水や電気は文字通り生命線なので、それを止めるということは「貧乏人は死ね」と言っているのに等しい。そもそも水道代も払えないほど貧しい人がいること自体がおかしいのではないのか。映画では生活保護や児童相談所の問題も出てくるが、これは個人の努力ではなく社会問題としてとらえるべきことである。
だからこそ、この映画のラストはよくない。問題提起自体は鋭いのに、自分で提起した問題に向き合っていない。これでは評価が伸びないのも致し方ないだろう。
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