さあや

メタモルフォーゼの縁側のさあやのレビュー・感想・評価

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
3.0
映画とは全く関係のない話になってしまうのだけれど、私の中で、自分の記憶している範囲での"いちばん古い記憶"というのは、昔暮らしていた家の縁側での光景で。

わたしは一人縁側に座り、目の前に広がる庭の青々とした草や、濃いピンクや黄色の、鮮やかに咲く小さな花を眺めている。庭に出る際、サンダルを履く為に置かれた石段の表面の冷たさを足裏に感じながら。そうしていると廊下の奥から、顔はよく見えないものの、私の祖母と思われる人物がおぼんにポッキンアイスを乗せ、こちらに向かってくる。顔もはっきり見えていないのに、なぜだか祖母が、とても暖かく、優しい表情をしているのがよく分かる。そうして祖母は私の隣にすわり、瞬く間に溶けていくアイスをなんとか半分に割り、2人並んでチューチューと吸うのだ。

当時小学1年生ぐらいだっただろうか、ある朝、こんな夢をみた、と当時同じ家に暮らしていた祖母に絵を描きながら話をしたところ、それは以前お前が住んでいた家とおんなじ間取りだ、と驚いていた。夢だったのか昔の記憶なのかは分からないけれど、ポッキンアイスを見かけた時、縁側を見つけた時、わたしは今でもその光景を思い出す。きっとこれからもずっとそうなのだろうと思う。それだけ。
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