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ハケンアニメ!のざぼのネタバレレビュー・内容・結末

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「本気に対してそれ以上の本気で応える。お互いへの信頼があればこそ成り立つ世界。」

制作陣の本気を知る作品であり、アニメから希望を得た人たちの想いを乗せた作品であり、ライバルどうしの激戦に胸を熱くする作品でもある。

原作を読んだのは5年前なのでいい具合に内容を忘れていて、ほぼ新作として楽しんだ。そして、作中作1話が公開された中盤以降はずっと泣いていた…。良い意味でスポ根作品なので、個人的に大ハマリです。


①見どころ
実力も願望もなければ名前すら覚えられない中での、斎藤と行城の関係。

斎藤から行城に対して「1話おもしろかったですか?」へのはぐらかしを経ての、「行城さんへの文句を言っていいのは私だけです」の信頼感。斎藤が倒れた後に行城がいちごエクレアを買ってきて「4番打者です」も涙ものだし、斎藤の「記憶を取り戻さない」案への変更に対する「斎藤監督」が最後には響く。


②見どころ
王子の『光のヨスガ』から希望を得た斎藤が新たに『サウンドバック』で太陽に希望を与える。

就職面接で「魔法はないけど、アニメは魔法を超える力を与えることができる」と語る斎藤。借金に取り立てられて一人で絵を描いていた斎藤に、友人から魔法少女の手が差し伸ばされるも振り払ってしまった。同じようにアニメは現実ではないと拒絶する太陽だが、サバクをモチーフにしたカップ麺はちゃんと"届いていた"。ラストに太陽が友達とサバクごっこで遊ぶのを、斎藤が部屋から見下ろして崩れ落ちるのに涙が止まらない。


③見どころ
監督をはじめ各クリエイターが本気で制作に向かっている。

王子が失踪したようで「製作者は机に向かうしかないのだ」とホテルで缶詰生活だったり、制作進行がある中で「納得のいかないものを世間に出せない」として修正をかけた王子に呼応する伝説の進行・有科とファインガーデン並澤(神絵師)。トワコ役の声優・葵は元は客寄せ配役であったが、サバク現地に赴き努力を重ね、最後には斎藤から自由に演じさせてもらう。また監督は細かい指示を出すも、みんながその指示を妥協せずに飲み込んでいく。


④見どころ
作中作である『サウンドバック』『リデルライト』をマジでフルで見たい。

PVからエグいし、覇権アニメを競った視聴率争いに、飛び交うSNSの声。それに押し潰されそうになりながらも制作を続ける斎藤と王子を裏では見つつ、最終話では「記憶を取り戻すか否か」「生かすか殺すか」の選択を迫られる。両作の真のエンドにはクリエイターの並々ならぬ心血が注がれている。
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