面白かった。ナチス占領下のパリで迫害を逃れようとするユダヤ人宝石商と思わぬ形で人間性や道徳心を問われるフランス人夫婦の話。8割ぐらいが宝石店で繰り広げられるほぼ密室劇。
道徳逆転劇とでも言おうか。劇中の言葉「恐怖は逆転する」まさにその通り。
疾走感溢れるスリラーの「この愛のために撃て」「友よ、さらばと言おう」フレッド・カヴァイエ監督 x ジル・ルルーシュ主演コンビが再び。
だけど今回はじっくり人間ドラマ、元は2016年の同名舞台劇、その劇作家が友人のフレッド・カヴァイエ監督に映画化を打診してアレンジも許可したらしい。
宝石商のホフマンは家族を国外に逃がし、自身は店を助手のフランソワに一時売却してから家族のもとへ行くはずだった。しかし、ナチスの弾圧が強まり宝石店の地下に隠れることになった。
フランソワ夫婦とホフマンはどうなるのか。
タイトルが「さよならホフマンさん」なので何らかの形でホフマンとの別れがあるだろうとは思ったが……
なんてこった!な結末だった。
ストレスフルな状況で、助ける者、助けられる者、優しさ、冷酷さ、すべてがひっくり返る。
映画化に際して改変(というか追加?)された部分は感想が割れそうな気がするが、言葉の節々からこの時代の価値観における男らしさが欠如している(と思っている)者が切羽詰まって取った行動とも取れるのでまあ映画としてはアリじゃないかな。それをまともに受ける妻もどうかと一瞬思うが、あの状況になる前から内面ではくすぶっているものがあったのかもしれないし。
まあとにかくなんてこった!だったが(しつこい)、三人とも完璧な善き人ならここまでの展開にはならなかっただろう。
三者三様の生きたい気持ちが噛み合わないというか。生きるためには狡猾にならざるを得ない状況というか。
ナチス占領下だが、ナチスはそんなに出てこないし、直接的描写はない。
コメント欄にメモあり👇