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私だけ聴こえるのvanillaのレビュー・感想・評価

私だけ聴こえる(2022年製作の映画)
4.8
聴者でもろう者でもなくCODAという種
家族には聴者と思われ、聴者には何かおかしいと思われるから居場所がない
通訳に精一杯で会話に入れない
津波から逃げることを説明するために一回家に帰るしかなかった
聴こえなくなれば孤独じゃなくなると思った

映画『エール!』では母親が「あなたが聴こえると知った時絶望した!」と泣き喚いていて、ここは『CODA〜あいのうた〜』では「悲しかった。分かり合えないと思ったから」みたいな優しい表現に変えられてたけど、現実は前者なんだろうなぁと思った
後者では会ったばかりの先生が1発で「CODAなのか?」と気付いてたけど、現実ではそんなにすぐわかってくれる人には出会えないだろう

CODAキャンプというのはとてもよさそう。家族よりもCODAのコミュニティの方が自分の気持ちをわかってくれるというのは悲しいけどいい話
CODAの男子は優しいよという会話があったけど、優しくならざるを得なかったのでは…。

最後ふんわりとそれぞれいい話っぽくまとまっていたけど、最近読んだ小説のラストで介護に追われる主人公が「小説は終わるけど生活は終わらない」とぼやいていたのを思い出し、文学と比べても仕方ないけどいたたまれない気持ちになった。
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