極楽蝶

私だけ聴こえるの極楽蝶のレビュー・感想・評価

私だけ聴こえる(2022年製作の映画)
4.0
先日観た「コーダ あいのうた」に感銘を受けたので、このドキュメンタリーを鑑賞。まだ世間的には認知の薄い「コーダ(CODA)」に光を当てた優れた作品だと思う。作品中でのコーダの人がろうの人のことを「かわいそうと思わないで、私たちがどんだけ幸せなんだか分からないくせに」という言葉も印象深いですねぇ!
とはいえ、作品からはコーダの人たちとその家族の生活やコーダのコミュニティでの交流などは知ることができるが、彼らの悩みや心情までは理解できなと思った。けれども上映後の松井至監督のトークイベントがあり、その中で監督がコーダの人から話された次の言葉を紹介した時、ハッと思った。
「体はあなたたちと同じだけど.心はろうの人と同じなんだ」

ラスト近くで、コーダのシェリーさんの「子供がろう者だったらという不安があった。親がろう者であることと子供がろう者であることは違うから」という言葉はコーダの複雑な心情を語っているように思えましたねぇ。

ところで、この作品を観ながら不思議に思ったことはコーダの人たちがどうやって言語を習得したのかということ。これもトークイベントでの松井至監督の話で理解できました。アメリカではコーダは移民のクラスで英語を勉強することがあると。だから日本の小学校などで、話がうまくない子供がいたらろう者の子供の可能性もあるので、言葉の学習について配慮してください、と。これって大切な示唆だと感じました。
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