マクガフィン

狼たちの墓標のマクガフィンのレビュー・感想・評価

狼たちの墓標(2021年製作の映画)
3.1
リゾート開発の覇権を巡り抗争し合う裏社会の人達の話。
0から築き上げた会長と利権を打破する為には奪うしかない、のし上がっていく者達。食がメタファーになっていおり、与えられるモノや分けられるモノだけには満足いかず、結局全部を手に入れたい強欲さが悲しくも。
任侠的な悪とサイコパスな悪中の悪の対立構図。PTSDのような深淵に闇を抱えているサイコパスさの雰囲気は良いが、冷酷さと業欲さのバランスがブレることや掘り起こしが足りないことが惜しい。

中盤まではグイグイ引っ張っていく牽引力は流石だが。廃れたギャング映画の起因である、やり尽くした感や出尽くした感と同様で、着地点が物足りないことにも。

其々の器量が何とも言えず、キャパオーバーになって零れ落ちることが死に繋がる裏社会の悲壮を伝えたいことは分かるが、ダイレクトに復讐の悲哀が伝わってこないのが惜しく、それだったら、復讐の後も喚起できるような演出も必要だったのでは。