わらじ

RRRのわらじのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
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す〜ごい絵面と勧善懲悪起承転結の圧がすごくてパワーを浴びたい人におすすめ

この世にあるすべてのハラハラドキドキシチュエーションが詰まってたんではないか?とそんなことはないがそのくらい常にクライマックスシーンだった
ずっと気づかない圧倒的すれ違い、肩車ノールック射撃、膝がこわい肩車ジャンプ、檻から放たれる獣たち、結果じゃなくて行為が重要なんだという言葉にめちゃくちゃ説得力をもたす懸垂、アルジュナに"なる"などの見どころが満載

大きな話の流れとしては侵略してくる悪の大英帝国vsそれを阻止するインドということでインド国旗に包まれて炎の中でも無事だったり、イギリスの王冠マークに血がビシャっと飛んだり、エンドロールでおそらくインドを作り上げた著名政治家、活動家?の顔が浮かび上がったりなど、めちゃくちゃナショナリズムだあ!!という感じ
インドの植民地時代の話で侵略されたインド側が作るこういう大作映画って今まであったのかな?そういう意味でオリエンタリズムの逆をしていてすごい意味の転覆みたいなのを意識しているのはわかった
イギリスからインドを救う2人の背後には神話の神や王たちが…!といういつものやつの徹底っぷり、伝統芸能としてみたら満点という感じ(そろそろインドの神話ちゃんと勉強したい…)
ラーマとビームは作中でも違う宗教、民族?ではあるけどおなじ「インド人」なんだ!という感じだったけど、聞いたところによると役者たちも政治的に違う派閥らしくてファン同士も仲悪いみたいなの聞いて、そこは悲しくなった、そういう人たちこそ仲良くなろう、みたいな映画なのに…

あとは、伝統芸能として満点!と言いましたが、やはり伝統芸能なりの良くなさというかつまらなさも感じてしまう
インドの男尊女卑事情(?)は『グレート・インディアン・キッチン』とかでもみてるので、戦う男に待つ女、俺について来い男にそれをケアする女という構造は、もういいかな〜という気にもなる
伝統芸能なんだからそこは目をつぶってただ圧倒的パワーを楽しもうぜ!といわれるとたしかになあという気持ちにもなるが、その規範通りの進み方の良くなさを良くなさと理解しつつも観るのと無批判に受け入れるのとは違うと思うのでね…
イギリス人に呼ばれたパーティでもナートゥに夢中なイギリス人女性、それを不満に思うイギリス人男性という構図でイギリスの男から女を奪っていくインド男…みたいな流れも「あーね」と多少の冷めた気持ちは出た、最後にくっつくのもあまりにもご都合すぎて…ね……ジェシー、ラーマとビームの激重感情は決して同性愛的なものではないということを示す言い訳のためだけにいるキャラクターのような気にもなってくる…(プラス、ビームが屋敷に入るきっかけに利用する女…てか釘でタイヤパンクさせるのは普通に悪いだろ…笑)
こういう旧規範通りの物語ばかりのつまらなさ、そうでなくても面白い、むしろそれ以上に面白い大作が作れるということを知ってしまった今は『バーフバリ』をただただ最高に楽しんだ頃には戻れないのかもしれない
普通に楽しくナートゥに加わるイギリス男、つまんね〜何それって特に興味ないイギリス女が出てきた方がおもしろくなることもあるんだよなあ

いろいろ葛藤はあるが伝統芸能勧善懲悪ストーリーとしてはめちゃくちゃ良くできてて楽しかった
いつか型からものすごい外れた超大作もみてみたいな
わらじ

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