ヤマニシ

RRRのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 立場を超えて親友となってしまった二人の勇者の話。本来なら敵同士だけどそうと知らずに仲良くなってしまう設定で「忍者と極道」を思い出した。(似たような設定の作品はいくらでもあると思うが、熱量的に似てる気もする。)
 この二人のキャラクターが魅力的で、とにかく強く勇敢という共通点はあるものの、一人は純朴で女性に免疫がなく、もう一人は(おそらく)教養のある色男といった違いがある。バトルスタイルも一方はパワーを活かすタイプでもう一人は技や武器を好んで使うタイプと細かい差別化が図られている。共通点はあるものの根本のタイプが異なり、だからこそ強く惹かれ合う様がいっそう強調される。ただ、二人が一緒に筋トレとかして遊んでいるシーンは笑ってしまったが。
 作品の熱量が全編通して高く、インドだけあって画面上の人口密度が高いシーンが多い。それでもどこに注目すればいいか混乱しないのは、色味やカメラワークといった細かい演出が工夫されているからだろう。決して勢いだけの作品ではないと感じた。
 随所に散りばめられる、不要ではあるものの盛り上がりに必要なシーンが魅力的だった。例えば、最終盤でラーマが武神みたいな衣装を纏って弓矢で戦うシーンは、弓矢は必要だが衣装を変える必要は全くない。だけど変えた方がかっこいいのでシーンとしては必要ではあった。他にもナートゥのシーンは特徴的で、いるかいらないか言ったら話の都合上あそこまで尺を割く必要はなかったけど、エンドロールの盛り上がりにも繋がるし必要なシーンだったとも言える。不要か否かで演出を決めているというよりは、魅せ場を思いつく限り盛り込んでおけという発想なのかもしれない。魅せ場といえば、二人が肩車で戦うシーンは合理的ではあるものの、それよりも単体で戦ってもあんなに強い二人が合体したら最強に決まってるだろ、という謎の説得力があった。
 細かい部分にツッコミ出したらキリはないが(毒や大怪我を負っていたラーマが現地調達の薬草を使ったら数分で回復したあたりとか)、そういうのはさておき魅力的なシーンをこれでもかと盛り込み、それに対する批判を的外れにさせるよう作られた映画だった。むしろそういった粗はシリアスな笑いにつながっている。(監督の狙い通りなのかもしれない。)
 敢えて難点を挙げるなら勧善懲悪の作品ではあるためか敵側をかなり悪辣に描いているところか。もう少し敵にも魅力のあるやつや骨のあるやつ、明確な強敵を据えるなどして欲しかった。あくまで主役二人の英雄譚なので主題とは異なるのだろうが。それと単純に尺が長いのに休憩時間がなかったところもきつかった。
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