kaz666

RRRのkaz666のレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.3
日常で説得力がうまれる場面を考えた際に

視覚で捉えた部分でいえば市場で店側が激推ししている商品なんかで

ポップに書かれている赤文字であるとか、ミステリー小説の表紙の帯なんかもそう。

世の中に説得力があふれている。

誰が誰に説得をするのか、何のための“力”なのか

人が人を論破するときに生まれる説得力

それは人の心の隙間、人が発する言葉の穴をつつく力。


“説得力”のはなし




ひさびさに映画館なる場所で誰もが激推しする作品を見たのだが

作品の内容は他の方のレビューを参考にして頂くとして、

簡単にいえば、

敵対する勢力のふたりの“戦闘の天才”の生きざまと共闘。

プロットはしっかりとアクション映画の体裁を取りつつ、二人の軌跡を

群像劇にて描く。

カカロットとベジータが手を組む。ナルトとサスケが重なる。

桜木と流川が手を鳴らす

日本の漫画にある誰しも心臓の鼓動が早くなるような

王道のシーンが詰まっている

美しい筋肉の流れと流線型の剣劇。

弓のしなりと矢の線形、ピストルの軌道がスローモーションで再生され

見ているものの期待以上の結果が待っている。


飛び散る血液で表情を曇らされたと思ったら

キャストの表情と我々の表情がシンクロするナートゥで筋肉と口角が弛緩する。

まるで我々の五感を牛耳られているかのように監督の手の上で踊らされている。

そうかこれがナートゥか、、、という冗談はさておき




この作品には“これしかない”という説得力が至るところで見られるし

視ている我々がその説得力に翻弄されつつも、監督のイデオロギーと同調する。

その体感する熱量と温度。

まるで幕間で見られるめらめらと燃える炎のように我々のハートを熱くする。

費用対効果という冷めるような言語でこの作品を語るのは滑稽だが

この作品の莫大な制作費に対する恩恵は見ている我々が一番理解しているし
見ないと何もわからない。

この作品から出てくる謎の“説得力”に固唾を飲むしかない。



ホンモノの映画好きが作った、映画好きのための映画。


ガキの頃少年ジャンプを初めて手に取りページを繰るのを止めれなかった


黄金世代の、あの謎の“説得力”


なんだかそれに似ている気がしてならない。


めちゃくちゃよかった
kaz666

kaz666