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RRRのRのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画館で友人3人と。

2022年のインドの作品。

監督は「バーフバリ」二部作のS・S・ラージャマウリ。

あらすじ

イギリス植民地時代のインド。ゴーンド族のビーム(N・T・R・ラオ・ジュニア「バードジャー デルグの皇帝」)は軍に連れ去られた少女マッリ(トゥウィンクル・シャルマ)を奪還する事を誓う。そんな中、ある列車事故をきっかけにビームは警察官ラーマ(ラーム・チャラン「誰だ!」)と友情を育んでいく。

まず一言。

今更っ!!

もう今作に関してはもう言わずと知れたというか、口にするのも烏滸がましいというか、2022年、完全に映画業界は「マーベリック」とこの「R R R」の一年だったと言っても過言ではないほど、多くの映画ファンが一度と言わずに何度も足を運び、絶賛の嵐嵐嵐!!かくいう俺も公開時もうすぐにでも行きたかったわけだが、まずインド映画らしく3時間という長尺という敷居の高さに加え、これはぜったい友だちと行った方が面白いだろうとスケジュールも組むもことごとく「今日はやめっか…」でおジャン。つーことでなかば劇場で観ることを諦めていた矢先、ようやく友だちと予定が合ったので、本当に、本当に念願の鑑賞!

ちなみに、俺自身恥ずかしながら、インド映画は「きっと、うまくいく」を劇場でめちゃくちゃ昔に観たっきりで、監督の前作「バーフバリ」もなんだかんだ結局は観てないしで、今回でなんと2回目のインド映画体験という感じ笑。で、やっぱ観る前は3時間かぁ…多少面白くてもきっついなーとぶっちゃけビビってたんだけど…。

やべぇっ!!!こんなに面白い映画があって良いのだろうか…。マジで観終わった今もワンシーンワンシーンが怒涛の勢いで想起させられるくらい忘れがたい大傑作でした!

まぁー、何から語れば良いのやらって感じではあるんだけど、やはりまずは主演の2人、ビームとラーマが最高!!

まずは、「水」の男ビームを演じたN天T・R・ラオ・ジュニアが最高!!登場シーンから虎を誘き寄せるために上裸で頭の上から血を浴びるというものすごい登場なんだけど、そっから狼→虎との追いかけっこを展開し、その戦いの最後は素手でがぶりよっての組み合いという野生味溢れるインパクツっ!!要はこのビームが自身の一族ゴーンド族の少女マッリを取り戻すことからお話が始まるんだけど、そのためにデリーに潜伏してからは意外とぽっちゃりした体型と人好きのする顔立ちからそれまでのワイルドさはなりを潜めている二面性もある感じ。ただ、マッリを取り戻そうと行動に移す際はマジでカッコいいんだけど、それに関しては後述。

そして、もう1人「火」の男、ラーマ・チャラン演じるラーマも最高!!こちらはこちらでまた登場からインパクトがあって、どうやら独立運動家の解放を求めるデモ隊の暴動を止めるシーンから始まるんだけど、その中の石を投げ込んできた首謀者らしき男たった1人を確保するため、単身デモ隊の渦に飛び込んでいって、何度も押し潰され、フルボッコにされようとも「不屈」の精神でその首謀者をふん捕まえて舞い戻るというまさに主人公!!という感じ。どうやら「最高捜査官」昇進するために野望に燃えているわけなんだけど、まだ冒頭では明かされない点もまたミステリアス!

で、そんな2人がある列車事故によって運命的な出会いを果たすわけなんだけど、この場面がまあ最高!!事故によって水上で炎の渦に巻き込まれた少年を助けるため、橋の上と河岸で目があった2人は直感的に「助けよう!」となって常人では理解できないだろっ笑!てくらいのラーマのハンドサインを合図に行動に移すんだけど、ビームはバイクにまたがり、ラーマは馬に騎乗し、お互いを縄でくくりつけた後、橋の両端から一気に飛び降りて、まさに「火」と「水」の力で少年をアクロバティックに助け出す!!非常にヒロイックかつ未だかつて観たことのないレスキューシーンにもなっており、この地球上で同時に存在しながら今まで出会えなかった2人が劇的な救出劇を見事成し遂げた後、お互いの手を繋いで「俺はラーマ!」「俺はビーム!」と自己紹介する、まるで青春映画のような朗らかさ!!唯一無二の親友たり得る2人の「出会い」を演出する上でこれ以上ない名シーンとなっていて、まずここでブチ上がる!!

まぁ、そっからインド映画らしい陽気な音楽をバックに一昔前のコミカルモーション込みで2人が友情を育むシーンだったり、マッリを攫った今作の悪役である総督スコット・バクストン(レイ・スティーブンソン「ファイナル・スコア」)の姪ジェニー(オリヴィア・モリス)に一目惚れしてのアレコレの甘酸っぱさだったりのシーンにはその落差に辟易することもあったんだけど、まぁここもロマンスシーンかと思ったら、急に劇画チックな音楽使ってガラッとトーンを変える荒技など笑っちゃうところもあって楽しい。

で、そんなジェニーに招待されてダンスパーティーに繰り出す2人なんだけど、そこでジェニーを狙うキザなイギリス男に挑発されて、このまま終わって良いのかよ…とこちらが悔しい想いを抱いていると…。

「ナートゥをご存知か?」のラーマのセリフと共に始まる、出ましたっ!!各地で話題沸騰、今年のアカデミーでも歌曲賞ノミネートもされた「ナートゥダンス」こと「Naatu Naatu」!!「ここからは俺らの独壇場だぜ!!」とばかりにものすごい速さのステップ&満面の笑みとキラキラ輝く瞳で最高のダンスを繰り広げる2人の勢いにこちらも思わず体がノリだし、今すぐにでも踊り出したくなる胸の高鳴りっ!!それでいてそんな2人のダンスに見惚れて周りのジェニーやキザ男もダンスに加わり、最後は「誰が最後までステップを刻んで立ってられるか」の熱狂ダンスバトルに発展していく意外性込みでもうここだけでサントラ購入確定!!何度も聴きたくなるし、何度も観たくなる!!最高っ!!

ただ、そんな2人の友情もお互い本来はそれぞれの「目的」がありながら、お互いの「出自」を知らぬまま親友になったという事で、思わぬ形でビームがラーマに正体とその目的を明かした後、遂に幕を開ける「一部」のラスト、総督公邸襲撃シーン!!

パーティーを開催する公邸に仲間が運転するトラックで乗り込んだ後、その荷台の檻から多数の猛獣(序盤のシーンで捕らえた虎もこのためだったのか!!)と共に両手に松明を持って乗り込むビームの「決め絵」的登場のかっこよさはサムイボ粟立つほどめちゃくちゃカッコいいし、その後虎や狼、雄鹿などの野生動物によるアニマルアタックによって大パニックに陥るパーティー会場の中で、それまでの「友」ではなく、完全に大義を果たすための「敵」と認識して警察官ルックで登場するラーマとビームとの直接対決がまたカッコいい!!迫力ある徒手空拳で応戦した後、花火をバックに燃え盛る火の粉に棒を燃やして花手にするラーマとまるで破壊された噴水から浴び出る水をバックに蛇のように勢いで暴れるホースを手にしたビームがまるで2人の出会いであるあの救出シーンをオーバーラップさせるかのような「炎」と「水」がそれぞれの身に纏わせながら回転してぶつかり合うシーン…監督が最良のショットを決めてからシーンを構築する「ヒロイック・フレーム」と呼ばれるショットの連続でなんなんだこれ!!なんなんだこれ!!観た事ねぇよ!!やばすぎだろっ!!

で、そんな2人の激しいバトルシーンもありつつ、結局その顛末はマッリが総督に人質にとられたことで残酷にも終わりを告げるわけなんだけど、ここで「インターバル」(どうやら、本国ではここで休憩が挟まれるわけらしいんだけど、もちろん日本ではそんなシステムもなくぶっ続け、だがそれが良い!!早く続きを観させろっ!!)。

で、「2部」の序盤はラーマの過去エピソード。どうやらラーマの父ヴェンカタ(アジャイ・デーヴガン「SOORYAVANSHI スーリャーバンシー/ジャスティス・スクワッド」)は元々は警察官だったんだけど、スコットの圧政に耐えかねて脱走、独立運動家として自身の村人たちを決起のために戦闘訓練を施していたと。で、ラーマをそんな父親を誇りに思いながらも、来るべき日に備えて銃器の腕を磨いていたんだけど、実は天性の銃器の腕前を持っていることが発覚、父親に認められた矢先にイギリス軍が叛逆の芽を摘もうと攻めてきてしまう。そこでこちらも凄腕スキルを持つヴェンカタが単身銃器で応戦し、健闘したり、そのヴェンカタも敵の銃弾で致命的な傷を追うピンチに駆けつけたラーマがその父親を超えるスキルで敵を倒していくんだけど、遂にラーマの弟や母親までもが凶弾に倒れてしまう。村人を1人でも多く逃すために悲しみに耐えながら「ロード(装填)、エイム(狙え)、シュート(撃て!!)」の合図でラーマに指示を送るシーン、マジでヴェンカタカッコいいし、泣ける…。

こういう主要人物の過去エピソードでここまでエモーショナルに熱くなれて泣けるシーンてあっただろうか…。

で、そんなヴェンカタも遂にここまでかと覚悟を決め、敵に囲まれる中、上記の合図でラーマに指示を送り、爆死。ラーマは父親の遺言である「全ての村人と銃器を手に戦え」の大義のために1人野望に燃えていたと。いや、その出自までかっこよすぎか!!

で、お話は現在パートに戻り、遂にビーム処刑の日。残酷にも公衆の面前でムチ打ちの刑、しかもその執行人は当のラーマによって行われることになるんだけど、ここのビームがまた泣ける…。永遠に続くように感じるムチ打ちに耐えながら、更に総督夫人(アリソン・ドゥーディ「ライジング・ホーク 猛軍襲来」)の指示により水たまりに映る自身の顔によって、開眼。痛みを超えた境地に至って「Komuram Bheemudo」を歌い始める!!信念のために打たれても吊るされても決して痛みに屈せず、最後まで膝をつかないビームの勇姿に周りの群衆も思わず怒りに打ち震え、遂にはビームに感化され、暴動にまで発展していくカタルシス、歌の力ってのもあるけど、たった1人の誇り高い姿そのものでそれまで圧政を強いられ、見ているだけしかなかった民が感情の力だけでライジングしていくその様に観ているこちら側も思わず打ち震える、本当に良いシーン。

ラーマもこの光景を目にして、銃器が無くとも、人そのものが「武器」となりうるということを体感し、遂にその大義を捨て、ビームを逃すことを決意、救出を決行、スコットの銃弾で負傷しながらもマッリと共にビームを逃すことに成功する。

ラーマが自らの立場を捨ててまで親友を助けたという事実を知らず、脇目も振らず彼方まで逃げるビームを「逃げろ!」と訴える目で見つめるラーマ切ねぇ…。

で、なんとか逃げおおせたもののあわやというところで救いの手を差し伸べてくれたのが、ラーマの許嫁であるシータ(アーリアー・バット「ダーリンズ」)。そのシータからラーマの大義、そしてそんな大義を捨てて親友を助けたという事実を聞かされ、悲しみに打ち震えるビーム!!

一方、捕らえられたラーマはいつ来るか、というか来るかどうかすらわからない友の帰還を胸に、1人頭上の檻を握り、懸垂に精を出す。なんだろう、この「走れ、メロス」のような熱き信念は!!

そっからは今度はビームがラーマを救出する脱獄シーンに入るんだけど、それまで決裂していた2人がパーティーでの熱狂の合図だったドラム音のリズムのモールスを送り合って、ラーマが捉えられている牢獄にたどり着くとそのままビームのパワーで解放!!狭い牢屋で下半身が上手く使えないラーマを瞬時に肩車すると、上部をラーマ、下部をビームが受け持つ、まさに戦隊モノの合体ロボのような最強布陣!!そこでビームが前方に駆け出しながら、見事な早業で敵を薙ぎ倒すラーマ、敵のライフルを奪うと両手にそのライフルを携え、ケレン味ある銃アクションにリロードは下部のビームが行う細かい共同作業、そして極め付けは肩車のままアクロバティックに飛び、監視塔の敵を物理法則をおよそ無視した協力プレイで薙ぎ倒す!!一個一個のアクションは「ありえねー!!」の連続なんだけど、ツッコミ上等!バカらしさ上等!その全てをひっくるめて監督だけでなく、作り手や演じ手の一人一人が一丸となって「火」と「水」という本来なら相容れない元素=間柄の2人が遂に結託し、成す「友情パワー」を根底から信じているからこそ体現し、視覚化できた奇跡的なシーンとなっており、本当に言葉にならないくらい最高!!

そして、クライマックス!!敵の大群に囲まれながら、遂に覚醒してしたラーマが赤いサリーに身を包み、銃の代わりに近辺に配置された神の像から拝借した弓矢を手にして、まさに火の化身の如く戦う弓矢アクション、一方ビームは水辺からヌッと顔を出したかと思えば、こちらは槍を手にして水に包まれながら水の化身の如く戦う!!爆発過多、人死過多の大味、だけど最高にブチ上がる、まさにクライマックス感溢れるエクストリームアクションのつるべうち!!

そして、にっくき悪役スコット総督との直接対決では、圧政を敷いてきたインド人に対しては銃弾一発放つのももったいない!と散々冒頭から口癖のように捨て吐いてきた彼の言葉を返して、それまでのお返しとばかりに銃弾一発を放つワンショット・キルのカタルシス!!

そのまま帰路に着いた2人はその帰りを待ち望むマッリやシータ、ジェニーをはじめ、再会を喜び合い、読み書きを習いたい!蜂起のメッセージが描かれた旗を持ち、陽光をバックに彼方を見つめる2人の勇姿で終わるラスト!!そして、そのままインド映画らしい陽気な音楽とビームやラーマ、シータやジェニー、監督まで参加してのダンスシーンでエンドロールまで楽しませてくれる作りに、本当に良い映画を観たなぁという感動と共に終わらせてくれる。

いやぁ、心底マジで観てよかったー。いつもは観る映画に偏りがあり、好き嫌い激しい友人も「最高の映画だ!」と言っていたし、友人たちとあーだこーだと作品のワンシーンを語り合いながら家路に着くまでの時間もかけがえのない映画体験!!

もちろんインド映画だけでなく、インドの国政にも詳しくない自分みたいなもんからするとめちゃくちゃ楽しい映画!という以上の本作の意味や価値もわからないし、「武装蜂起」「暴力肯定」がキーとなっていることで現在の国際情勢に照らし出すとやや「古臭さ」を感じる作りだったりもあるのかもしれない。

ただ、そんなの知ったこっちゃねー。3時間マジでぶっ通しで観続けても、「火」のように心が熱くなり、「水」のように何度も涙を流して2人の友情や勇姿をこの目にスクリーンで目に焼き付けることができた、マジで映画が好きで良かったと感じることができたこの気持ちを持てたことが本当に嬉しいし、幸せだった。

最近は本当に嫌なこともあったり、めげることもあったけど、今日の映画体験のように、やっぱ映画には本当に救われるなぁ…と思えることもあるし、明日を生きる力にもなる。だからこそどんな映画にも価値を持ってこれからも観続けてもいこう!と思えるような本当に映画の素晴らしさに溢れた、最高の作品でした!
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