がらがら

ヘルドッグスのがらがらのレビュー・感想・評価

ヘルドッグス(2022年製作の映画)
4.0
岡田准一がヤクザ組織に潜入捜査官として潜り込む。原作小説は未読。

ストーリーはともかくアクションはカッコいい、ストーリーはともかく。

『インファナル・アフェア』や『新しき世界』など、アジアでも名作が多い潜入捜査物は大好物。

今作も名作に引けを取らないくらい本格的な雰囲気。ワイルドな岡田准一も、細身で長身の坂口健太郎もスーツ姿がばっちり決まっていてカッコいい。アクションも気合が入ってるし、潜入捜査物には珍しく主人公が人を殺すことに躊躇しないのも展開にストレスが無くていい。

ただ原作を1本の映画で話をまとめるのは難しかったのか、ストーリーについては初見で観客に理解させる気0の不親切設計。ストーリーの説明は冒頭にオッサンが早口でまくし立てるだけで終わり、あとは雰囲気で理解しろと言わんばかりの構成。話の分かりやすさよりもアクションを、そして岡田准一をいかにカッコよく見せるかに振り切った作品。

実際ストーリーはなんとなく雰囲気で理解できるものではあるのだけど、ヤクザ関係の誰が何のために動いてるのかが分かり辛く、これが理解できないといくらアクションが良くても組織抗争の話ってテンション上がらないんだなと気付いた。主人公と相棒の心理描写も薄く感情移入し辛い。原作量に対して尺が足りないんだろうけど、それにしてはなんか必要のないシーンも多いし、もう少し上手くやれた気はする。

葛藤なく殺す主人公はアクションを見せる上では良い部分ではあるものの、本作では潜入捜査に対する主人公の動機付けの部分が弱く、ひたすら無茶な警察の指示に素直に従い続ける主人公には違和感があった。主人公の行動が冒頭以外は警察の指令だから、主人公の目的達成にカタルシスがない。この辺も登場人物の細かい心理描写を端折った弊害かな。

岡田准一のアクションは凄いし、雰囲気も素晴らしいんだけど、他のボディーガード達と並ぶシーンを見るとやっぱり身長が足りないなと感じる。

ストーリー度外視で面白そうなシーンだけをくっつけたような構成は『アウトレイジ』的。アクションに力を入れた潜入捜査物としてはイギリスドラマ『ギャング・オブ・ロンドン』も思い出した。

そしてあのラストカット『新しき世界』のオマージュにニヤリ。
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