凄く良かったです。
全体を通してセリフが少なく、劇的な出来事が起こるわけでもない。場面が転々として情報を伝え続ける映画が多いけれど、僕はこういう映画の方が好きかも。
考える余白があるから。
「はいここで笑って、ここで泣いて」と指示するかのような映画は好きじゃない。
それは映画に限らず、文学や音楽でもそう。
いかなる表現でもどう感じるかは受け取り手次第であるべきだと思うから。
けれどそういう楽しみ方をする人は多くないような気もしていて、だからこそ直球で分かりやすい映画が世に溢れている（特に邦画）。
なのでこういう映画が映画館で観れることに感激したな。
映画の後半、マンションの隙間から花火を見るシーンがあるんだけど、そこで昔の記憶がフラッシュバックした。
思えば普段生きていてこういう経験って中々ないなと思って、でもこの感覚が凄く人間らしいなと。
忘れていてもふとしたきっかけで記憶が呼び起こされる。それって生きて何かを経験した証明だと思う。
この感覚のために映画を観ているわけじゃないけど、大事にしたい。
人生は常に未完成で、満足なんていつまでたっても出来ない。
だから未熟なままの今でも、何とか生きていくしかない。
