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百花のyapのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
3.0
大プロデューサーの長編映画監督デビュー作である。
名作とされる認知症を題材にした映画というのは総じて上映時間が長い。
認知症発症前後で変化するのは当事者だけではない。
周囲の人たち・家族も変化する。その変化を描くためにはどうしても時間がかかるのだろう。
それゆえに、本作の104分という尺の短さに驚いた。
監督デビュー作ゆえの冗長さ・見るに堪えないカットがあったのだろうか。
ダレを防ぎ、テンポ感を重視するために随分カットしたのではと邪推した。
しかし、それは杞憂に終わった。
考え尽くされたカットの数々。
流麗なカメラワーク。
緊張感ひいては俳優の息遣いや鼓動が伝わるワンカット。
鬼気迫る俳優の演技。
認知症を抱える人が見る世界とはどういったものなのか。
なんとかそれを映像化しようという信念を感じられた。
感動作というよりは野心作。堂々たるデビュー作だった。
しかし、自分が本作に求めていた「感動」はなかった。
かつての母の息子に対する仕打ちがひどすぎること、
母は聖母であるべきという固定観念が邪魔をしたのかもしれない。
肝心の「半分の花火」もこれまでの母のイメージを逆転させるような肉付けが欲しかった。
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