老老介護の現実を体験出来、スプリットスクリーンは脳を破壊し眠りに陥れる。
毎回、実験的な映像を世に放つギャスパー・ノエの新作。新作と言っても2021年に製作され、ようやく日本でも公開されることになった。
認知症を患う妻を介護する夫は心臓病を患っている、そんな老老介護の実態をドキュメンタリー風に描く。今回はそれぞれ登場人物を写すカメラ（主に夫と妻）を同時にスプリットスクリーン（二画面）で表現するという実験的な映像になっている。
実験的な映像はギャスパー・ノエらしいが、刺激的なギャスパー・ノエらしさでもあるセックス、ドラッグ、暴力は封印。148分という長さで平凡な老夫婦の生活を描くため、どうしても眠気を誘われる。
ただ、老老介護の厳しさをリアルに体験出来るので、あと数年で定年の自分にとっては色々考えさせられた。
リアル故に孫が玩具をガンガンぶつけていたり、夫に愛人がいるというだけでなく愛人に激しく愛を求めるダリオの姿には思わず笑ってしまった。ダリオの実生活も結構お盛んなようなので、愛人の件はなんかリアルw
普段は見ないジャンルの映画ではあるが、本作を見たいと思うきっかけは監督がギャスパー・ノエということの他に、敬愛すべきダリオ・アルジェントが夫役を演じているということ。撮影時には80歳を超えているだろうが、元気にしっかりとした演技を見せている。ダリオ作品に出演する俳優よりも良い演技なんじゃないかなぁ。
