6月

VORTEX ヴォルテックスの6月のレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
4.2
適当なこと書いてるからもう1回観てから書きたいけどもう観たくない

うまく言葉にできない、とにかくすごい映画を観てしまったという感覚
心臓病の夫と認知症の妻、そして息子を二分割の画面で淡々と、死を真正面から描いていた
穏やかな地獄 最後はなぜか清々しくもあった
地獄だ、悪夢だとは思ったけど救いようがないとかそういうことじゃなくて、ただ単に嫌な現実を押し付けられた感じ
誰にでも平等に訪れるものだけど怖くて仕方ない、歳をとりたくないし死にたくない
私は身近な人をなくしたことがなくて 死は本当に未知のものというか、わからない でもとにかく怖い
死後は無だと今は考えてるけどその無が怖すぎるんだよね嫌だなあ

段々慣れるけど2つの画面と字幕を追うのが最初は難しかった
2人とも笑顔で楽しそうな優雅な食事シーン良かったなあ、素敵だった
黒い線に引き裂かれて 同じ家で暮らしてるはずなのに壁があって、やっぱり所詮は別の人間なわけで全てを理解し合うことはできない
オープニングでクレジットを流して、最後はFIN の3文字であっさりと終わらせてしまったり、夫が亡くなったあと画面の半分が消えてしまったり、喪失感の演出がすごい
とにかく長いけどその長さに意味があった
夫の発作が起きるシーン息が詰まりそう、隣にはすやすや眠っている妻
妻の自分は死んだ方がいいって発言しんどかった まあずっとしんどかったんだけど
もう、今はあんまり考えたくない
観てる間ずっと胃がきりきりしてた

死を美しく描く映画もあるけど こういう、現実と向き合えるような映画もたまには 本当にたまになら、いいな
最後に部屋が淡々と映し出されるところ、なんというかもうどうしようもない虚無感におそわれた
夫が大切にしていた本もなにもかも、全部が大切な思い出だったあの家が綺麗さっぱり片付けられてしまっていて あーーーー無理だ、悲しい
今はまだぜんぜん咀嚼しきれてないから何十年後に、 観たくはないな もっと辛いし怖い

人生は夢の中の夢だ
心臓より先に脳が壊れてしまうすべての人へ
6月

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