セカイ系映像表現を堪能せよ!
空色を基調とした背景表現に、作画パワーが割り振られた映画が作られ続けているが、ある意味本作は振り切れている。
見せたい「場面優先」の為に作られた世界観はストーリーを添え物のにし、青春ジュブナイル風の絵を見せる為に構成されている。
かなり尖ったバランスの映画で、ストーリーや世界観のご都合主義は目を瞑ってもらう事で成り立っている。
本作は壊れた「東京」が舞台で、文明が5年前に崩壊した後の世界のようだが、壊れ具合は分からない。(外部との連絡描写はあるが、それはどの程度なのか不明だ)
世界に影響を与えた大事件のはずだが、ある意味とても閉じた「セカイ」で描かれる。
それは全て色彩鮮やかに「廃墟とバブルの中で、パルクールする少年少女」の絵作りの為だ。ここを楽しむ映画であって、ストーリーはその舞台設定に過ぎない。そこを許容出来るかどうかでこの映画のスタンスは分かれるだろう。
個人的には、映像表現の見本市を見ている気分で結構楽しめた。テンプレボーイミーツガールも雑味が入らず、邪魔「には」ならなかった。