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バブルの2049のレビュー・感想・評価

バブル(2022年製作の映画)
2.8
 『進撃の巨人』や『DEATH NOTE』を手がけた荒木哲郎監督、『PSYCHO-PASS』や『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本を担当した虚淵玄氏、『DEATH NOTE』や『バクマン。』のキャラクターデザインを担当した小畑健氏、映画『君の名は。』や『天気の子』などのプロデューサー・川村元気氏、アニメ『SPY×FAMILY』の『WIT STUDIO』、超豪華な座組みで作られた劇場アニメ作品。前知識無しでNetflixで鑑賞。

 まず言いたいのはヌルヌル動く映像表現の素晴らしさ。崩壊したカラフルな東京を縦横無尽に跳び回るパルクールアクションは目が離せずフレッシュな魅力がある。
 細部まで描き込まれたビジュアルの美麗さにも引き込まれる。

 ただ如何ともし難いのは人魚姫をモチーフにしたストーリーで、大風呂敷を広げて「さぁ、どうやって畳むんだ?」とワクワクしながら観ていると、まさかの畳まないまま終わる。もしかしたら作り手は畳んだつもりなのかもしれないが。

 とにかく設定がガバガバで本作の世界観を理解しようとしても理解させてもらえない。巨大なコンクリートの塊や車が浮いているのに人間にはある程度の重力が働いているようで、そういったことに対する説明が全くない。つまり、ビジュアル重視で作って「こういう世界なんで、映像をそのまま受け入れてください。説明?ないですよ」という感じ。
 観客は何故そうなっているのか明かされるものだと、ミステリーの謎解きに近い気持ちで設定の謎を追いかけているのに種明かしは用意されていないのだ。

 またキャラクターの内面描写も少なく、全く感情移入出来てないのに、はい!ここで泣いて!言わんばかりの煩い演出に逆に引いてしまう。
 キャラクター達の情緒やセリフも不自然すぎて違和感しかない。突然現れた謎の美少女の名前が分からない、普通なら本人に尋ねると思うが突然名前をつけ始める。犬猫のような扱いにドン引き。巨乳巨尻の美女が攫われたり、純粋無垢な少女がひたすらひっついてきて慕ってくれたりと女性キャラクターの役割が一昔前。

 やはり一番キツいのは沢山の謎を散りばめておいて一才回答しないという部分か。鑑賞後に残るのは「納得がいかない」という気持ちばかり。大爆死も頷ける。
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