ワンコ

アンブッシュのワンコのレビュー・感想・評価

アンブッシュ(2021年製作の映画)
3.7
【穴埋め?】

中東地域での戦闘を描くと”アメリカ対〇〇”みたいな構図が多いと思うのだけれども、日本で公開された作品では、中東の国同士の戦いを素通りして、「バハールの涙」や「レッド・スネイク」のようなIS対イスラム女性の戦いみたいなところにまで行ってしまった感はあった。

この作品は、フーシ派の活動が活発化したイエメンで物資の供給やパトロールを担うUAE軍が急襲を受けた実話がベースだ。

フーシ派は、シーア派の一派でシーア派の盟主とも言えるイランの支援を受けている武装組織だ。

現在は、スンニ派武装組織ハマスの突然の宣戦布告とも言える大量のミサイル攻撃に対し、イスラエルがハマスの拠点ガザ地区に過剰な反撃を繰り返し、多くのパレスチナ人が命を落としている現状を理由に、フーシ派は紅海を航行するイスラエルがわずかでも関係している船舶に対し船籍にかかわらず、攻撃したりシージャックを行って、石油だけでなく世界の船舶輸送に悪影響を与えている。

同じイスラム教同士でどうしてこうも殺し合うのかなんて思うこともあるが、日本でも過去には仏教徒同士で殺し合ったこともある。

浄土真宗の昔あった京都山科の山科本願寺を焼き討ちにしたのは日蓮宗門だった。

その後、本願寺は拠点を移したが、強力に武装して石山本願寺は、戦国大名も含めて信長が最も手を焼いた相手になった。

宗教の原理主義はいずれにしても厄介だ。
直接的な暴力はなくても、旧統一教会はキリスト教原理主義的だし、民族主義的原理主義の日本会議は、神道原理主義的な神道政治連盟と思考もメンバーも重複するところが大きい。

そして、性的マイノリティだけじゃなく女性の社会進出などにも大きな抵抗を示している。

結局、最終的に行き着くのは、宗教原理主義と女性の戦いということになってしまうのだ。

だから、この作品は、穴埋め的のような気もする。
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