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屋根裏のラジャーのmitakosamaのレビュー・感想・評価

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
4.0
23年の年末はアニメ映画が豊作だ。ゲ謎・トットちゃんに続き今作も中々の完成度の傑作だった。
監督は百瀬義之。この人はもっと早くから自由に作品を作らせるべき人材だったよ。ジブリでは短編しか任されなかったし、二ノ国なんて大ザルな脚本を当てがわれたり。
その意味では、デジタルに強くジブリ仕込みの演出も活かせる百瀬の実力が発揮できる作品をやっと任されたと言って良い。

原作はイギリスの児童文学だそうな。イマジナリーフレンドをモチーフにしたファンタジーで、日本のアニメ似ない発想の物語だ。ちょっとピクサーっぽい物語だなとも思った。

どこかのヨーロッパっぽい感じの町が舞台。(この背景美術がまた素晴らしい)
シングルマザーに育てられる娘アマンダには、イマジナリーフレンドのラジャーがいる。この空想世界のアニメーションは天下一品だ。
そもそもキャラクターデザインから凄い。2Dのアニメなのに影に3D風のグラデーションをかけている。単なるグラデじゃないので相当手間暇かかってると思う。

そんなラジャーの元に怪しいオッサン・バンディングと不気味なイマジナリが現れる。イマジナリを喰ってパワーアップをするバンディングにラジャーとアマンダは怯える。

そんな中、アマンダは事故に。創造主が居なければイマジナリは消えてしまうが、ラジャーはイマジナリが働く図書館に導かれる。イマジナリとしての活動をしながらアマンダを救うためにバンディングと戦うラジャーの活躍が描かれる。

物語が他に類似性がなく、非情に個性的だ。それ故に先読みできない展開が続く。

中盤のお母さん傘の内側を見たシーン、
あれは思わず涙が溢れたわ。ゲ謎もトットちゃんも泣かなかったのだが、今作は泣いたね。

トットちゃんも興行的な出足は鈍かったが、口コミで巻き返しを図ってる。今作も作品が良いので観客動員もこれから伸びて欲しいな。みんなお金を払って劇場に行こう!
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