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屋根裏のラジャーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
3.9
なんか劇場の興行収入がいまいちっぽい。
だけども、スタジオポノック。『メアリと魔女の森』など、当初ジブリを退社した米林監督が立ち上げに関与したスタジオの最新作。

“イマジナリー”、子供が空想で作り上げるキャラクター。
子供時代のことを思い出す。
子供はよくわからない設定とルールの謎ゲームで遊んだり、ぬいぐるみに名前つけたり、“何かが見えてるかのような遊び”をしたり。

その“見えてない何か”、それが“イマジナリー”。
子供の頃にそんなキャラクター、いた気がする。
が、覚えてない。

つまり子供の想像によって生み出される“イマジナリー”はその子供と共に生きている。
しかし、その子供は成長し、やがて大人になり、“イマジナリー”のことは忘れていき、“イマジナリー”は消えていく。

「想像には絶対勝てないものがある、それは現実だ」

想像はあくまで誰かの心や頭の中にあって、それがなくなれば存在価値を失い消えていく。

そんな豊かな子供の想像力の素晴らしさとその裏側にある“想像側目線”の切なさなどを織り交ぜる。

想像を生む人と、その想像で生み出された“イマジナリー”、現実と想像の境界線で起きるそれぞれの思いと絆の物語。

大人になると忘れてしまうという何とも悲しいけど誰にでも共感できる切ない面も描き、“イマジナリー”側にもただ忘れられたわけでもなく取り残されてる者もいる。

そんな、現実が生んだ想像の特性や存在価値を見事に共感させるような楽しく夢のある世界観を壮大なファンタジーで描きながら、そこから生まれる歪みや切ない結末がある“イマジナリー”側の様々な運命を差し込む。

想像と現実が交錯する中で、人と、人が産んだ存在が織りなす想像の素晴らしさと切なさと、力強さを感じる素敵な物語。

母親に通じていくエピソードのノスタルジックさ、大人にも想像ができるんだと、必要な時もあるんだと思えるプロットがとても良かった。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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