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映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝の犬のレビュー・感想・評価

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やる気のないカメラワークに劇場版の意義を一切として感じないが、序盤の傀儡を使ったアクションは近年の中だと悪くない(安藤汁が恋しい)。しかし、本作の主題である新生児取り違えからしんのすけのルーツやアイデンティティを探ったり(また回想が薄い)、忍びの里に順応して春日部及び野原家に帰りたくなくなるような描写は特になく、深みを増すはずの題材を放棄しているとしか思えない。そして、今作に於いては対立構造に重点を置いていないことから敵対するキャラの長老は秘書によって呆気なくフェードアウトするし、みさえが奮闘するものの「母は強し」と言うほどフォーカスが当たる訳でもなく、フェミニズムあるいはジェンダーロール(しんのすけがピンク色の服を選ぶことからなど)を意識しているのだろうが、演出が中途半端で主体が見えにくい。挙げ句の果てには、なんの葛藤もなく口寄せの術に一発で成功したかすかべ防衛隊が障害もなくニントルを転がして地球の穴に見事押し込んでもカタルシスは皆無である。結論、全てに於いて単純に「下手」ということに尽きる。お気に入りキャラは風子。実写化するなら絶対に山田杏奈が適役。
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