犬さんの映画レビュー・感想・評価

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遥かなる大地へ(1992年製作の映画)

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傾斜した丘の雄大なロケーションから期待値が高まるものの、中盤は尺の長さと比例して弛緩する。しかし、終盤のレースにて広大な大地を一斉に馬や馬車が駆け抜けて帽子は飛ばされ荷物はひっくり返るほどの大規模な画>>続きを読む

LOFT ロフト(2005年製作の映画)

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ラストの熱烈で唐突なキスで終わったらどうしようと思ったが、ちゃんとフリとして一気に死体が上がってきて良かった。しかし、森の中の廃屋という舞台が揃っていながら微妙。

アデルの恋の物語(1975年製作の映画)

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イザベルアジャーニのガンギマリで忠告する顔は逆走ママチャリのような形相だし、意中の相手を催眠術で結婚させようとする狂気はGACKTのファンによる無断婚姻届みたいだし、今も昔もやっていることは変わらない>>続きを読む

デビッド・クローネンバーグのシーバース(1975年製作の映画)

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ヒルのような寄生虫が人間の理性を失わせるっていうクリーチャー要素を抜かしたら『哭悲』同様の着想。クローネンバーグ初期作品故にネバネバ具合は足りず、理性を失うことによる行為が人を襲うだけ以外だと無意味に>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.0

家族や過去との折り合い、喪失と孤独についての映画。『荒野にて』(失念気味)でも感じていたことだが、冒頭から撮影が特段に良い。それは、刹那的な陽光やクラブの二人を照らすライト、電車内の湾曲した窓に映るホ>>続きを読む

北の橋(1981年製作の映画)

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パスカルオジェが徹頭徹尾脈絡を見失っていて参った。ラストの空手とか何だよ意味深すぎて笑っちゃうよ。どうやら作品を知るのではなくリヴェットを知る必要がある。しかし、もう一回鑑賞したら評価がひっくり返りそ>>続きを読む

アスファルト・ジャングル(1950年製作の映画)

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落下した拳銃の偶然なる発砲、外からガラス越しに覗く二人の警官、ラストの牧場によるロングショットなどフィルムノワールとして惹かれるシーンはあるのだが、尺に相当するほどはノレず。

DOOR III(1996年製作の映画)

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空間と美術が黒沢清のそれ。やはり、この年代のJホラーは人影が無機質で怖い。

エッセンシャル・キリング(2010年製作の映画)

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雪原の中、偶然にも乳児に母乳を与えている最中の母子に遭遇し、もう片方の乳房を曝け出して乳児と母乳をシェアする不潔なヴィンセントギャロ。最早レイプ同然だが、ヴィンセントギャロの目的は性ではなく生であり宗>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

3.0

復讐劇という単純且つ複雑な構造にてロングショットと奥行きが抜群に良い。凄いのは理解している上で好みではない黒沢清フィルモグラフィの中でも広い廃工場に於ける人物配置と動線は流石に唸る。香川照之の顔圧と発>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

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人情ドラマでありホラーであるジャンルレスな展開は前衛的な大林宣彦だからこそ成り立つのだが、大林宣彦の作品を観ていると画面が五月蝿いからか頭が痛くなる。夜の浅草や仰角なマンションなど幻想的な照明も相まっ>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(2022年製作の映画)

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やる気のないカメラワークに劇場版の意義を一切として感じないが、序盤の傀儡を使ったアクションは近年の中だと悪くない(安藤汁が恋しい)。しかし、本作の主題である新生児取り違えからしんのすけのルーツやアイデ>>続きを読む

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

3.0

ちゃんと『シンドラーのリスト』が彷彿とされるほどに迫害が残虐すぎて傷心。何が怖いってドイツ軍がユダヤ人を殺すときに一切の躊躇がないこと。平気で人は燃やすし脳天も撃ち抜く。女性が「どこへ行くんですか?」>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

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製作陣の力の入れ具合からして佳作の評価を受けているのは分からなくもないが、今作に於いて圧倒的な印象を与えたのはチョウドンユイの振り幅を活かした演技力だろう。あと、中国の過酷な大学受験がそのまま背景とし>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

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如何にもギリシャ映画(ランティモス的な空気感)でありながらカウリスマキ的なシュールなユーモアが垣間見える。旧住所や犬の名前や好きな音楽の歌詞など記憶喪失とは矛盾した箇所が散見される中で、好んで食べてい>>続きを読む

せかいのおわり(2004年製作の映画)

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観葉植物に関心があるので渋川清彦が暴れて倒したり千切ったりしたシーンで悲しくなったが、ラストの横移動からの落とし穴が良い。どことなく青山真治、瀬田なつき、いまおかしんじっぽさを感じたりもして、映画とし>>続きを読む

イグジステンズ(1999年製作の映画)

3.0

恐らくクローネンバーグのベスト。ゲームによる仮想現実を扱った二転三転する脚本の物語的快楽も然る事乍ら、突然変異した生物の骨を組み合わせて作った骨銃(正式名称なに?)を考えただけでも発明。ジュードロウが>>続きを読む

ザ・フライ(1986年製作の映画)

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スパイダーマンのようなヒーローになれなかった男の哀しき末路。ラストでジーナデイヴィスが向けた銃口を自ら頭部に向けるシーンで不覚にも泣きそうになる。自分がハエと融合してしまった事実を知るまでに一時間のド>>続きを読む

ザ・ドライバー(1978年製作の映画)

3.0

過剰な劇伴やカッティングを省略して「こういうので良いんだよ」を演出したようなカーチェイスが至高。街中の通行人が目撃したくらいの渇いた撮影や静寂に響き渡るスキール音が妙に心地良く、純粋に追う/追われるこ>>続きを読む

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

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見る/見られることで繋がる人物と関係性。見上げる側の視線誘導や位置関係の対比など、高低差による演出がそこまで効果的に演出されていないのが勿体無い。工藤遥って元々の特技がボルダリングなのかと思ったら本当>>続きを読む

ゴースト・オブ・マーズ(2001年製作の映画)

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なかなか景気の良い『ヴァンパイア/最期の聖戦』の火星バージョン。親指や腕が切断されることはグロテスクに於いて加点ポイントでありラストの心地良さもあるが、全体的に可もなく不可もなしな仕上がり。

ヴァンパイア/最期の聖戦(1998年製作の映画)

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吸血鬼を駆除するのに舞台を洋館ではなく西部劇としているのは面白いが、ラスト20分くらいまでは弛緩。人体発火や頭部切断など、やることはやってくれている。

エスケープ・フロム・L.A.(1996年製作の映画)

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帰ってきた俺たちのスネーク。プリスケンと呼ばれたら「スネークと呼べ」って返す流れが名前にコンプレックスを抱えているみたいで可愛い。予算の増加に伴うサーフィンやハンググライダーのアクションが露骨だが、そ>>続きを読む

デッドゾーン(1983年製作の映画)

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シャマランユニバースみたいにクローネンバーグユニバースが始動されても良いような千里眼を授かった人間の顛末。ヒロイックに人々を救出/救済する訳でもなく、飽くまで孤独が付き纏う生活を送る中でラストの死は呪>>続きを読む

ゴースト・ハンターズ(1986年製作の映画)

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配給会社「『ゴーストバスターズ』人気やし便乗したろ!」って感じで邦題が決まったのかな。カートラッセルのくだらないギャグでゲラゲラ笑ってしまった。クリヘムでリブートすれば良いと思う。

ジョン・カーペンターの 要塞警察(1976年製作の映画)

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ポスターからして『ロボコップ』や『ジャッジドレッド』的な内容を想像していたが、実際は敵に包囲されて籠城するゾンビ映画のような銃撃戦の構図。少女が撃たれる描写に容赦ない復讐劇を期待したが、消音銃も相まっ>>続きを読む

ダーク・スター(1974年製作の映画)

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低予算ながら『フォロウィング』よりは予算が掛かっているであろうに『フォロウィング』にはない緩さと遊びが今作にはある。ビーチボールにスプレーで模様を描いただけの地球外生命体とか正気か?って感じで終始鼻で>>続きを読む

フォロウィング(1998年製作の映画)

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長編デビュー作としての完成度は抜群なのだろうが、ガチガチに計算で撮られた故に粗さや遊びという余白が皆無であり面白さは感じられず、どうせなら「趣味で尾行した男性が自分よりも変態だった」路線で展開して欲し>>続きを読む

ジョナサン ふたつの顔の男(2018年製作の映画)

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二人の人格とはいえ装置によって制御されているし時間帯でも区切られているのでアンセルエルゴートによる演技の振り幅や周りの人間の混乱という在り来たりな展開には広がらない。実は元々は三人の人格が〜って多重人>>続きを読む

七月のランデヴー(1949年製作の映画)

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親の目を盗んで店の精肉を持ち出す→ガソリンと等価交換→そのまま水陸両用車として川を突っ切る、みたいなシークエンスが好きなので後半の演劇パートはそこまでノレず。ブリジットオベールとニコールクールセルが違>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

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ゲーマーが培われた技術を駆使して現実世界で活躍する映画と言えば『ピクセル』を想起。このエンジン音や通過音は劇場鑑賞であれば相当な高揚感を得れそう。展開も王道なスポ根ドラマで観る人を選ばないだろうが、そ>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

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金子勇本人が言うように日本発のコンテンツの未来は「if」でしかないが、失った可能性は確実に大きいことが素人ながら窺える。それにしても、裁判長の世間を逆撫でするような無知な老害感が絶妙。

マウス・オブ・マッドネス(1994年製作の映画)

3.0

それぞれの表紙を破って一枚の地図を完成させる展開からして面白さが保証されたことを確信する。カーペンター印のギトギトしたクリーチャー造形は勿論、リンチ的な不条理をハンドメイドとした親しみやすさで畳み掛け>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

3.0

これほど植物に寄り添うカットがあるのも珍しいなと思いつつ、何処となく『オールドジョイ』を彷彿としながらケリーライカートやアピチャッポン風味が漂う。苔の写真を撮る際に添えられる手や横移動からの差し伸べら>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

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終電を迎えた時間帯の耽美的な彷徨に寄り添う一夜、その静かなる円環構造に酔いしれる。道中で関わる人物たちの脈絡に於ける起伏が微妙に好ましくなくて惜しい。浮浪者は無事であって良いし、コンビニ店員の姉ちゃん>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

他の超大作であれば「それとこれとは別」として切り離すのだが、流石にノーランとなれば久々に劇場体験の意義というか音響の驚異的な畏怖を体感。核実験にて閃光が放たれてから衝撃が響き渡るまでの長きタイムラグに>>続きを読む

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