雑記猫

ウルトラマントリガー エピソードZの雑記猫のレビュー・感想・評価

2.7
2021年から2022年にテレビ放送されたウルトラマントリガーの劇場版にして完結編。TVシリーズ同様に、国産作品としてはトップクラスの特撮シーンが惜しげもなく投入され、前作の主人公であるナツカワ ハルキ=ウルトラマンZや、ダークヒーローのイグニス=トリガーダークといった人気キャラクターが実にらしい活躍で話を盛り上げてくれる。ただ。その一方で、無闇に込み入って飲み込みづらいストーリーもTVシリーズそのままなので、全体としては、良くも悪くもウルトラマントリガーらしい劇場版に仕上がっている。

 ウルトラマントリガーとしての力を失った主人公マナカケンゴが戦いの中でその力を取り戻していく姿が描かれる序盤は、力を取り戻していく過程を通して、ケンゴ自身の精神的な変化やメインキャラクターたちの関係性の変化を描いてほしいところなのだが、実際には、ただただ力を取り戻していく様が段取り臭く描写されるだけなので、話運びが上手くないなぁと肩を落とさざるをえない。一方、本作のメインヴィランであるイーヴィルトリガーのキャラ立ては、演じる俳優の熱演もあって非常に魅力的に仕上がっており、また、前述の通り、本作の人気キャラクターのキャラクター描写自体は悪くないので、ファンムービーとして割り切って観る分には一定の満足度のある作品になっているとも言える。

 例年のウルトラマン映画と比べると、TVシリーズから一弾パワーアップした劇場版ならではの映像が本作ではあまり見受けられなかった印象だが、これはTVシリーズが毎話劇場版レベルの高品質な特撮を提供していたことの裏返しなので、この点をつつくのはいささか酷であろう。
雑記猫

雑記猫