たばた

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのたばたのレビュー・感想・評価

4.3
「スイスアーミーマン」同様、お下劣ギャグ満載の感動作でした。
まぁまぁ序盤でア○ルプラグ型のトロフィーが出てきたので、え?と思ったけど、後半のアレはマジで笑った。個人的にはジェイミー・リー・カーティスの手首サポーターがツボで、お年を召した女性って手首痛める人が結構いらっしゃるので、こういうディテール最高と思った。
この監督チームの作品が所謂コメディ映画と一線を画すのは、全てが(それこそセリフにもあったけど)「ルールなんかない!」というスタイルを追求した結果の笑いだからだと思っていて、B級映画っぽい瞬間があっても、オマージュというよりは結果的にそうなってるだけだと思えちゃう。

アナログな手触りが逆に今っぽいし、話の壮大さと一家族の問題とのコントラストをまとめる手腕も素晴らしい。SFとして普通に観られるし、妄想やメタファーとしてストーリーを観ることも出来ると思った。
前作や「ディック・ロング〜」で、とんでもない監督が現れた!と多くの人が思っただろうけど、こんなにも早くハリウッドのフロントランナーに躍り出るなんて想像出来たでしょうか。しかも彼らそのまんまの「しょうもな〜」というスタイルで。これが今年のオスカー最多ノミネートってほんと凄い。この触れ込みだけで観に来た人は困惑するだろうし、受賞後、更に困惑は広がっていくことでしょう。
キャスティングとタイトルを聞いた時点で相当盛り上がった映画で、正直期待を超えるとまではいかなかったけど、とにかく次回作が心底楽しみ。

キー・ホイ・クァンは多様性の追い風とか関係なく、どんな映画賞にも値するパフォーマンスだと思った。オスカーも受賞したら、またスピーチで泣きじゃくるんだろうな。
たばた

たばた