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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのyokoのレビュー・感想・評価

3.6
マルチバースと言うとMCUを思い浮かべたが、世界の調べ、それをなかなか信じない主人公、神モードで説法、連想したのはマトリックスとシンエヴァ。

でもそれを一番感じたのはsf要素の部分ではなく主人公が最初に税務署のオバハンをぐーぱんした時、パーティション越しになんかこっちを見てるかも!そしてだんだん近づいている感じ。スミスが最初にネオの会社に来たシーンを思い出す。全身じゃなくて上半身だけ見えてるところがポイントが高い。sf設定だけじゃなく映画としてもリスペクトしてるのだろう。

後半暴力ではなく愛の説法で解決していくシーンもシンマトリックスやシンエヴァに通じる。シンマトリックスのアクションがイマイチだったと言う意見もあるがあれは攻撃性を排除したあくまで愛のバリアで戦うという演出もあったからだと思う。

税務署に行くまでは本当なんも進まず、絵やカメラの動きも猥雑でセリフ回しもみんなごちゃごちゃしていてイライラするが、それも主人公の置かれている苛立ちにわざとシンクロさせている。

リアルな中華系の生活を書いているから素晴らしい的な評論は少し疑問で、そもそもたいていの映画では白人でも「リアルな白人を描いたから!」というのではなく非日常、キラキラしたステージ、が題材になるわけで、なぜリアルさを描くと深いですよ感になるのか?リアルなアジア人の悲哀、キッチュなアジア、ではなく、アップグレードした、取り繕った、例えばプラダを来た悪魔風のふわふわな映画を、いわゆるイケてる白人のようにアジア人を描いて成立させてこそ、深いと思うが。
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