神が意図

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの神が意図のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

個人の可能性(善悪にかかわらず)は、結局身の回りの煩わしさの中に秘められていて、人生はその取捨選択の積み重ねでしかない。だってマルチバースは認識できないのだから。でも、映画スターになった自分や石ころになった自分を想像することは自由で、それが意外と未来の選択に繋がってたりもする。どんな世界線を生きても側にいてほしいと思える人に出会うことが、くだらない現実世界を輝かせる唯一の術なのかもしれない。

登場人物たちの思考回路は妙に哲学的で、「こうなったら映画的によりカタルシスが出るのに」というこちらの期待を裏切ってグダグダ進むシーンも多くある。そこにも、マルチバース的な意図を感じなくもない。人生の選択には逡巡が伴うし、それが気持ちの良いものばかりであるとは限らないのだ。

下ネタや破茶滅茶な展開は最高。しかし、それも含めてアカデミー賞っぽくない作品のように感じた。色眼鏡で観てしまう自分を呪わなくてはならないが、単純にA24の新作としてみた方が楽しめたかもしれない。
神が意図

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