YukiSano

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのYukiSanoのレビュー・感想・評価

4.5
バカ映画史上初のアカデミー賞総ナメ映画。

おバカなのに哲学。
形而上学的にチ◯コ丸出し。
深いのか浅いのか分からない難解さと単純さ。
エンタメとアートの融合にバカを振りかけたら出来てしまった唯一無二のオリジナリティ。

もう二度とこんな映画がアカデミー賞を獲ることはないだろうという奇跡。スイス・アーミー・マンからジャンプアップしすぎな究極のアメリカンドリーム。

では、何故獲ったのかアカデミー賞の近年の傾向を考察したい。

アカデミー賞に変容があったのは2016年の「ムーンライト」くらいからで2017年は異世界の隣人を描いたSFファンタジーの「シェイプ・オブ・ウォーター」で初SFモンスター映画でアカデミー賞を獲った。ここら辺の頃のアカデミー賞は最下層の日の当たらない世界の人々にスポットを当てている。黒人で同姓愛者なんて題材もかなり尖っていて驚いたが半魚人なんてまさに水の底だ。アカデミー賞が単に社会的なだけでなく何かが変わり始めた足跡が見える。

そして、2018年は「グリーンブック」、2019年は韓国映画「パラサイト」が作品賞受賞。一見、グリーンブックは当たり障りなく、パラサイトは韓国映画だから冒険しているようだが、両者は上流階級と下層階級のお話なので共通点がある。パラサイトなんてまさに上下の世界に綺麗に断絶された作品で、アメリカや世界の現状を如実に現していた。そこで韓国映画が作品賞という革新があった。

その後2020年は「ノマドランド」が受賞。
これは元々、上流だった者が下層階級に貶められ2つの世界の狭間に引き裂かれたかのように、無限に続くかのような地平線の間を彷徨う話であった。そして2021年受賞「コーダ あいのうた」は、健常者と耳の聞こえない人々を繋ぐ少女が主人公で、2つの世界をついに繋ぐ物語だった。ノマドランドは上下に別れた世界の狭間だったが、コーダはシンメトリカルな構図の間を繋ぐようにヒロインが立ち、狭間を埋めるかのように歌う作品である。

こうして見ると、アンダーグラウンドから徐々に上下に分割された世界を見つめ、その断絶された世界を繋ぐところまで来て、満を持して『世界』を繋ぐどころか混ぜて統一する「エヴ・エヴ」の登場である。もはや上下でもシンメトリーでもなく、奥行きを繋ぐ物語。

偶然なのか、狙っているのか、集合的無意識の成せる技なのか、時代を完璧に現しているような気もするアカデミー賞の行方。この流れで行くと今年の受賞作はさらに一歩進むのか、気になる所。

限界の所までアカデミー賞を追い詰めたエヴ・エヴ。ポリコレやら中華パワーやら言われてるけど、この映画史の様々なジャンルを統一し、1つにまとめ上げ、分断された世界はワン・ワールドなのだとぶちあげる。これ以上アカデミー賞に相応しい映画はなかろうと納得。

チ◯コも鼻水もケツトロフィーも何もかも、優しく愛で包み込んで世界統一だ!
YukiSano

YukiSano