かな

すずめの戸締まりのかなのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

朝イチのIMAXで。
星を追う子どものキャラデザに近いし、雰囲気も似てる気がするし、はたして…と思いながら鑑賞。

今までの新海誠作品を見てきて、おそらく一番扱いが難しいんだろうなあと思っていたのがファンタジー色強めの作品なのだが、結果これは比較的キレイにまとまってたと思う。

逆に作品としてまとめるために入れてた要素が多くて行間が少ないので、行動の理由に読解が必要だなと思った。

たとえば今までの新海作品ではボーイミーツガールした末の恋がストンと落ちてきてたんだけど、本作はどこで何に惹かれたのかなと思うほどに気持ちの昂りまでが早い。
すずめも草太も、相手のどこに何を感じ取ったんだろう。
言の葉の庭的な理屈なしの惹かれる感じとかでもなくて、なんか説明しようとはしてるけど理由が薄い、みたいな…。

あと不必要な登場人物も多いかな?と思った。
含みを持たせて出す割に、みたいな。
冒頭の友人も役場の青年も、なんならおじいちゃんも多分なくても全然大丈夫。その分ロードムービーの箇所をもう一個増やしてもいいくらい。
その辺を削って主要人物たちの余白にもう少し割いた方が、より感情移入して見られたと思うんだよな~

ダイジンとサダイジンももったいなかったなあって。
すずめとの関係が要石の封印を解いただけでああなるのか、それともうちの子になる?で、あんなに懐いたのか。(多分後半おばさんとすずめの関係との対比もあるから、うちの子~の方なのかなとは思うんだけど)
あと結局最後2匹が要石として封印するなら、草太が1回1人で要石なってたの何?みたいなのもあり…

すずめが死んだっていい、私が要石になる、みたいな直後に草太さんと生きたい、になるのもどうした!?そうだよね?!そりゃそうだよ!と思うし、なんであんなに死んでもいいですスタンスだったのか(震災を経てというのは分かる、でもそんなに最初から希死念慮あったように見えないんだよな)、それなら草太だけ生き返らせても自分会えないじゃん!?会いたいんだよね!?だったし、「私も一緒に行く」なのか「草太さんには家族もいる、夢もある、友達もいる、だから私がかわりに」からのロードムービーやおばさんを思い出して、やっぱり二人で生きたい、とかならわかるんだけど…ベタではあるけど…
この辺はもっかいみたらわかるんかな…

要所の理屈の通らなさが、いつもよりも目に付いたなと思った。

まあでも星を追う子どもの時ほど(星を追う子どももすごい好きなんだけど)独りよがりではなく、書きたいファンタジーだったんだろうなという感想にはなりました。

あと天気の子の時にも思ったんだけど、そろそろ出だしのイメージとセリフの被りは変えた方がいい気がする。またこのカットでこのセリフね、がまあまあに増えた感じ。

秒速や言の葉、君の名は、天気の子で見せた音楽と画面の美しさでクライマックスをガンと立たせる手法が今回はなかったので、せっかくのRADWIMPSが盛り上がりどころとしてうまく作用していない気もした。そろそろその見せ方も…と思ったのかな?新海監督作品らしさってその辺な気もするんだけど、敢えてかもしれないですね。

新海誠監督は神木隆之介さんと花澤香菜さん、RADWIMPSを使わなかった時にどうなるのか、秒速の時のような痛いような沈黙を描けるようになるのか、今の新海監督の秒速のような作品を見てみたいと思った。
あとヒロインの声はこの声の系統がほんと好きなんだな、としっかり癖(へき)を見せられた笑
演技指導も多分同じような付け方をしてますよね?笑
松村北斗さんは笑い声のとこ以外はすごい良かったです。草太の少しかげのある柔らかくて優しい声にあってた。すこしキャラから浮く感じがする所もたま~~~にあったけど、それもいい浮き方というか、耳をすませばのお父さんのような浮き方で味があって全然よかった。

でもこんだけ「うーん?」を書いておきながらもう一回は少なくとも観に行くんだろうな。そのくらいにはいいカタルシスを味わえる作品だったので。

やたら懐メロ含め楽曲使用率が高いなと思ったらスポンサーがSpotifyでなーるほど!の顔したエンドクレジット。


追記:日を経るごとに、もう一度みたいという気持ちが強まる。君の名は。や天気の子の時に感じたエンタメ的なまた見たい、とは少し違う、切望するような気持ちで。
すごい濃度だったからかもしれないし、何度でも繰り返し見て消化するべきものなのかも。
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