橋本スパゲッティ

すずめの戸締まりの橋本スパゲッティのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

日本国民のトラウマに触れようとする作品
10年経った今だからこそできる傑作です

完全に震災をイメージして作った作品。しかもかなり直接的に。
当時の記憶を持つ日本国民なら誰が見ても分かる、あの惨劇のメタファー。
あえて直接的に描かれていることで伝わってくる重みが違う。
公式からも警告があった「緊急地震速報音」や、黒塗りにされた3月11日の絵日記、後半の舞台が東北になっていることを含めた全てが、否が応でも見ているこちら側にあの日を思い出させる。
でも震災を想起させる描写はあっても震災シーンはなかった。あくまで各々の記憶の中に残る震災に委ねられた表現だったと思う。ハッキリと震災の映像を思い出せば出すほど重くのしかかってくる。

開いてしまった扉を閉める際「お返しします」的な台詞があったが、最後の扉だけは「いってきます」だった。
扉に鍵をしていくというストーリーと震災のメタファーに気づいてから「震災の記憶に鍵をかけて、未来に進もう」的なメッセージかと思いましたが、行ってきますってことは帰ってくる場所と「ただいま」があるんですよね。
「震災を封じ込める」という意味で鍵をかけてるのかと思いましたが、それだけではなく「あの頃の記憶を大事にしまっておく」ために鍵をかけるという意味もあるのかななんて感じました。


今作も映像の綺麗さは健在でしたね。このクオリティのアニメーションは新海監督しか無いと思いこんでます。
ちょっとストーリーが駆け足(特に序盤)とは感じましたがこの映画が持つメッセージ性と震災をテーマにして1作作り上げた新海監督の覚悟を考えると新海監督大好き人間の僕はこの点数になってしまいますね。


いや〜ダイジンとサダイジン途中まで怖すぎますね〜。車の中で2人で寝てるシーンは可愛すぎてウホウホしてました。あんなんただの猫やん。
イスの動きは超人的。イスだけど。
新海監督が有名になった「君の名は。」「天気の子」と比べると大分ファンタジックでしたけど世間の評価はどうなりますかね。楽しみ。