2022

すずめの戸締まりの2022のネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

震災というテーマを直球に扱いながら、喪失からの再生を誠実に描いた祈りの物語 。
主人公のすずめが全国各地で災いを呼ぶドアを閉めるために旅をするロードムービーで、圧倒的映像美には純粋にワクワクするし、各地の校舎や遊園地を舞台にしたアクションも贅沢。タイトルの出し方や音の使い方、ぜんぶゾクゾクしてずっと楽しい。このスケールの壮大さ、映画館ならではだし新海誠作品ならではだと思う。
すずめの戸締まりは過去作よりも冒険ファンタジー色が強い印象がありつつ、日本の風景や生活描写のディテールが細かくて、人の温度感にもリアリティがあった。何よりも、まだ未成年である主人公に対する大人の眼差しが常に正しくて凄かった。危ない場所へ向かう子どもをただ傍観することなんて出来ない、責務を一人で背負わせたくない、力になりたい。そういう大人の善性を描くことを諦めずエンタメとして面白い冒険物語が出来上がっていて、人と物語に対する真摯な向き合い方が凄い。
そして大震災という現実と重ねざるを得ない痛みに対してとにかく誠実で、喪失を背負った人間がまたもう一度前を向くためにはどうすればいいか、それをとにかく丁寧に丁寧に逃げずに描いてくれたと思う。失ってもう全部ダメだ終わりだと絶望しても、いつか大切な人に出会えるよ、大好きな人ができるよ、騒がしい未来が待っているよ、大丈夫だよ、そういう再生への祈りの物語だった。

というかいつも予告と本編のギャップが巧みすぎて凄い。嘘偽りなくあらすじ紹介しつつ、佳境だと思っていたシーンは冒頭で済ませちゃったり、なんとなくこういう話かな~という想像を常に越えてて、めちゃくちゃ楽しい。次も楽しみ。
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