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すずめの戸締まりのharukaのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

岩手沿岸出身の私が観た感想です。
震災の時は高校卒業したばかりでした。

今までの新海誠映画の中ではシナリオは一番面白いと思いました!

ただ自分の中で大丈夫だと思って事前情報も少し調べた上で臨んだにも関わらず、映像から心の中に残ってる見た光景がリンクして涙が止まりませんでした。

・建物の上にある漁船
津波で色んなところにここにあるはずではないもの、人が流れ着いた光景は忘れられないです。
(最初のシーンですずめちゃん多分岩手沿岸出身設定かなと思った)

・雪の中お母さんを探すすずめちゃん
震災のあと降った雪。沿岸はやませの影響もあり3月に雪が降ることが多く、あの時も雪が降っていた。

・閉じる動作
映画としては前を向くために閉じるという意味が大きいと思いますが、でてくるミミズに触ると危ないという表現から、町のみんなのために、防波堤の扉を閉めに行き亡くなった多くの方々を連想してしまった。

・きれいな星空
元々田舎なので夜はきれいに星が見えますが、街全体が黒い海で流されて星だけがきれいに見えたあの日を思い出す人もいるでしょう。

東北に向かう道での芹澤くんの「きれいな場所だね」にすずめちゃんが「どこが?」となるように、被災した人、そうでない人でシーンに対しての受け取り方はそれぞれでしょうね。

作るにあたり綿密に調べたのかなと思った部分は、東北に進む道でトラックが多かった点です。復興のため工事用トラックが震災後ずっと走ってるんですよね。

個人的に気になる描写は芹澤カー(アルファロメオ)が道から外れて「ルートから外れました」がカーナビから流れるシーン。
震災後の道は、元々あったものはほとんど流されてひとまず作った道なので「ルートから外れました」が永遠と流れる期間がありました。映画館ではこのシーン笑いが起きてましたが、私は思い出して心がぎゅっとなりました(笑)免許をとって父の車で地元を運転したとき、元々あった道を思い出しながらカーナビから流れる音を聞いて泣きながら走ったな〜なんて。もしそういう意図でいれてたのなら新海さんすごすぎです。
個人的のここの部分の自分の感じ方と、まわりの笑い声でトラウマが1つ増えそうでした。

人によっては地震アラートで呼び起こされるかもですが、上記のような細かい描写やすずめの感情などから心にフタしていた部分が開かれる方もいると思うと、気軽にオススメできない映画だな...と。(注意喚起そこじゃないよ!感)
すずめちゃんの絵日記のように被災した方は数年かけてあの日の一部を無意識に塗りつぶす作業を心の中でしてたと思うのです。


「ただいま」を聞けなかった方にはかなりツラい映画かもしれませんが、前を向く勇気はもらえると思います。
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