行って帰ってくるロードムービーの基本形であり、『君の名は』から続く災害についての作品。東日本大地震から10年以上が経過してもエンタメ大作でこれをやり続けることに意味を感じます。
どこでも災害が起きる可能性があり、常にその危険はつきまとっている。でも人の生活は各地にある。全部当たり前のことだけどこの規模の作品だから素晴らしいと思います。
各地で温かいご飯を食べ、「いってらっしゃい」「行ってきます」と返事をするのも殺伐とした現代日本社会の温かい部分を垣間見ることができたような瞬間でした。
また、猫を追う椅子とのロードムービーはコミカルで面白く、SNSの使い方もナチュラルで良かったです。
イス表現は石田祐康監督の短編『ポレットのイス』的でもあり、作画にスタジオコロリドが入っていることも納得でした。
『君の名は』があまりにも露骨な赤い糸の物語であるため印象は薄くなるのですが、本作も運命の恋愛を意図しているところが新海誠監督作品だなあとも思い、エンタメ作品としてウケる地盤は確保していることも分かります。
