「君の名は」「天気の子」に続く作品なんだけど、前2作と作り方、見え方が結構違って、それでいて集大成的な満足感があり、見た直後は好印象だった。
序盤での大きなマイナスをゴールでゼロに戻すというストーリーの組み立て方がいい意味でアクションゲームっぽかったり、RADWIMPSのPV的な演出やあまり意味のない背景演出も鳴りを潜め、ああ、新海監督はこれから先、劇作家として生きていくことに腹をくくったんだなと納得感があった。
前2作に続き、大災害がモチーフとして出てくるけど、大きく違うのは今作が「東日本大震災その後」を指していると明言しているところだ。主人公もその生き残りである。ここが劇作家としての覚悟と取れるいい部分でもあり、同時にファンタジーとしての食い合わせの悪さ、居心地の悪さにも通じた。
とは言え、朝ドラで太平洋戦争が繰り返しモチーフとして描かれるように、東日本大震災も時代の共通体験として今後いろんなメディアでモチーフにされていくんだろう。だからそれ自体はいいとも悪いとも言えない感じだ。
もしゲームの背景デザイナー出身の監督として、背景をエモーショナルに力強く描くにはやっぱ天変地異かなー、という程度のきっかけで3本の映画を作って東日本大震災を描くに至ったのだったら、それはちょっとな、とは思ったけども。
