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すずめの戸締まりのIDEAのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
あの日払った犠牲の先に
溢れんばかりの愛がある。
私は失ったものを決して忘れない。

ふとした拍子に思い出す。
時が経ち少し遠くへ行ってしまった
あの時の痛み、悲しみ。

不意に目線を上げる。
私の心に落ちた影がはじけて消える。
過去には戻れないけれど
未来に向かって進むことはできる。

貴方が贈ってくれた小さな椅子に腰かけ
貴方からのたくさんの愛情を思い出し
しばし息を整える。

扉を開けて、閉める。
ただいま、おかえり、いってきます。
今ある"生"を抱き締め、生きていく。



和風ファンタジーっぽい世界観が妙に懐古的な気持ちを呼びおこす。
なんだかとても近しい物語の気がする。

…単に我が故郷の愛媛県が出てきたからだよ!
そして愛媛行きのフェリーの名前が「みかん」
おいおい、イメージがみかんって、いつの時代の愛媛の話してんのか。
はい!絶賛今だよっ!

愛媛の話は置いといて真剣な話すると、今作は震災、さらにいうと3.11が作品の核としてある。
まずこのテーマをここまで表立って組み入れたのはかなりの挑戦だったかと思うが、この部分のあまりに直接的な描き方が受け入れ難い方も多くおられると感じる。

しかし、過去の辛すぎる出来事から立ち直り、未来を力強く生きることを描くのに余念がなく、愛情の連鎖は悲しみの連鎖より遥かに強固なのだと示すような話のまとめ方には好感が持てた。

また声優陣もキャラクターにハマっており、違和感なく作品を楽しめる仕上がり。
素晴らしい作品だと思う。



入場者特典で"新海誠本"なるファンブックをゲット。なかなかしっかりした作りでいい感じ。
パンフレットは監督インタビューに設定資料集など880円のお値段の割に分厚めでお得感あり。

余談ですが。
レイトショー帰りに小腹が減ったのでマクドナルドへ。
よく見るとハッピーセットのおまけがすずめの戸締まりコラボ絵本!しかし、30歳のおじさんがハッピーセットを頼む絵面が恥ずかしすぎる…。
そこでドライブスルーッ!
さも子どもに買って帰るみたいなテイで絵本を颯爽とゲット。(まあ子どもはいませんし、なんなら独身ですが)
しかしこの絵本かなりクオリティが高く、映画を観た後に読むとじーんとくる良いものだった。

(2022.12.3追記)
"新海誠本2"ゲット、さらに深く作品を楽しめる。
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