SHOCKER戦闘員の映画日和

すずめの戸締まりのSHOCKER戦闘員の映画日和のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.2
2022.11.18
新海誠監督最新作という事で拝見して参りました。2016年の君の名は〜本作すずめの戸締まりへ至るまで-災害-と-再生-をテーマとした作風で美しい映像表現と共にそれぞれ登場人物達の視点や葛藤含めて非常に考えさせられる一本だったと感じました。
総合的に新海監督3部作を評価するならば作家性も含めて個人的には「天気の子」が一番印象深い1作ですが、
本作は過去2作品と比べ物語のテンポ感もよりスムーズですし、まるで宇宙空間にでも放り込まれたかのような広大な背景がとても美しく何処となく不気味な雰囲気も相まって素晴らしかったです。

惜しい点としては先程述べたスムーズなテンポ感が所々邪魔しており、
タメというかもう少し人物の内面描写をゆっくりと描いてほしかったという部分はありましたが、その辺はお好みが分かれる所かなという印象は残りました。

世界観の表現としては我々すべての人々が大きくダメージを受けたあの日。を直球勝負で描いてきたのは製作側なりの覚悟を感じ取れますし、
表現方法については各々で感じ取る塩梅も変わるなぁと思いつつも私なりに解釈をして改めてあの日。があって、そして「今」がある事を改めて痛感する事になりました。
とはいえ本作のテーマとしては災害というよりは過去,との折り合いの付け方や今,をどう生き抜くのか。という凄く根本的な事なのかなとは思います。
新海作品に登場する人物はとにかく内面との対話を描きまくってますし、
本編すずめの戸締まりも様々な土地に暮らす人々の交流を重ねすずめが成長していく物語として観れば非常にすんなりと入り込める部分もあるのであまり世界観に引っ張られ過ぎないのがおすすめの鑑賞方法かなと思います。

新海3部作の完結編とも言われる本作ですが、今後どのようなスケールで映像作品を生み出していかれるのか非常に楽しみになりました。