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すずめの戸締まりのSTAYGOLDぴあ映画生活のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.3
明日への扉
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ひとそれぞれに、いろんな扉がある。
開いてみないと解らない未来。
成功なのか、それとも…。

解らない明日のために、
みんな扉を開き続けていく。
人生を変えるのは自分自身。

相変わらずの新海ワールド炸裂。今回はよりロードムービー味を強めて未来への希望の意味を問いかけてくる。いいじゃん、迷いがなく、真っ直ぐどストレートで。

食事の描写も変わらず安定の旨み。これこれ。食べることは生きること。大事な営みの描写です。

「いってらっしゃい」
「いってきます」
当たり前に交わされる大切ななにか。そんなん、みんな解ってるよ。ケド、当たり前を忘れて、そして後悔する。あの時、あの瞬間に…。

新海カントクのディザスタームービーに対する覚悟。
Jアラートだって、他国には無い最新のシステム。国の防衛防御ラインよりも先に民に知らせてる危険。地震にも津波にもどんな災害にも負けない。

だから信じろ。またかと笑ってる場合じゃ無い。もし冥界の主の名前がついたアレが搭載された火矢が火球と化して炸裂しても、わずか数分でも有れば生き残る可能性はある。

地下鉄に逃げ込むだけでも。障害物、遮蔽物の影で目を瞑り口を開いて、体を丸めて小さくしゃがみ込むだけでも。

諦めない事が希望なんだよ。
このタイトルにも、それがあるー

ヒロインのひたすらがんばる原菜乃華ちゃんも頼りないヒーローの松村北斗くんも。バイキャラのウチの田舎の姫さま、深津絵里さまも。染谷将太くんもちゃいりも。他の演者全てがしっかりした演技。

一番刺さったのは、諦めないこころ。
オッサンも諦めず、君らと同じで戦うよ。君らのまっすぐな、そのまっすぐすぎる教えてもらった、全てで。

扉を開けるのは君らの思いの全てで。

昨日、伊豆弓ヶ浜で波のおとを聞きながら空を仰いだら、山の向こうに白い真っ直ぐな雲。さながら災害の象徴「ミミズ」の様な巨大なそれは、アッっと言う間に青い空へ溶けて消えた。その横には津波を避けるための高い避難棟。たかだか17メートルだけど。

なんか、どこかで二人が扉を閉じたのかも、なんて思ったりして。

本作を観てから随分経つが、そんな余韻を残してくれる、あったけータイトルでした。新海カントクはこのままでいいんだよ。永遠の少年でね。変える必要は、全くない。微塵もない。

観たくないやつは、観なくていい。
それでいいんだ。言うだけは自由だから。

いつだって答えは 遥か彼方にある
それが映画なのです。
ねえ、カントク。中二病だね。
他人とは思えないよッ←誉め言葉でーす。

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