【あの日を忘れず生きていく―――「すずめの戸締まり」】
去年劇場で観て、ブルーレイで改めて視聴
新海さん素晴らしい映画作ったな~
かつて栄えた場所にある扉の中から発生するミミズと呼ばれる災害の前兆を食い止める使命を二人が背負う。
忘れられ、失われた場所を"悼む"作業としての映画。
『閉じる』という行為は扉の向こうに別れを告げること。人々が扉を締めて大切な人に「行ってきます。」と言うように…
過ぎし日々を振り返らない勇気、未来を恐れない覚悟が今の時代を生きる我々には足りない。新海誠はそう感じ、この映画を製作したのではないだろうか。それは単に、起きてしまったことは仕方がない、過去のことは忘れろ。と一方的に過去を突き離すのではなく、過去と今をつなげて、過去のすべての感情に想いを馳せることで、〈今この瞬間〉の自己と他者を肯定する。
宮﨑駿の『君たちはどう生きるか』はこれの延長線上にある気がする。